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みなさん、日本のカエル・両生類が絶滅に瀕しているのを知っていますか?


■朝日新聞両生類絶滅させるカエル・ツボカビ症 (ツボカビ症の確認方法の図入り)

昨年末、カエルを死に至らしめる「ツボカビ症」が国内で初めて感染が確認されました。 緊急事態宣言も出されました。
「ツボカビ症」はアフリカ起源のカエルの病気で、輸入したカエルから日本に入ってきました。 人間などには感染しませんが、両生類にとっては致命的。
水を媒介に強い感染力で広まるので、一度野生に出たら雨と川の多い日本では食い止めることができません。世界規模で両生類減少の原因となっていて、 両生類が根絶した地域が沢山発生しています。この病気は、絶滅を引き起こすのです。

カエルは、大量の虫を食べてくれます。キャベツの青虫も、毛虫も、蜘蛛も、何で も食べてくれます。
また、沢山の鳥や蛇、そしてイリオモテヤマネコなどの餌になります。
もしカエルが居なくなったら、生態系は大変なことになります。
それに、アマガエルの鳴き声という季節の風物詩もなくなってしまいます。

皆さん、お願いです。この事実に興味を持ってください。
近くにカエル好きの人が居たら教えてあげてください。

飼育しているカエルをチェックし(特に外国産)、絶対に外に放さないようにしてください。 感染しても治療できるので、専門の獣医に見せてください。
感染していたら、飼育した水も下水処理では菌が残ります。感染したカエルを飼育している人が一人でもミスをしたら、この病気が日本に広まってしまうかもしれません。


下記と、URL先に詳しい記事がありますので、ぜひご一読ください。

■発症固体の対処法WWF(飼育者向け)


■対処法
・万が一、カエルに疑われる症状が出たら「絶対に野外に出さない」ようにしましょう。 治療法はあります。飼いたくない場合は、専門機関が引き取ってくれます。
・感染固体が触れた水は、下水に流しても感染力を保ったままです。流さずに消毒するか獣医など専門機関に相談しましょう。消毒薬は、上のURLから手に入ります。
・感染したと思われる固体が死亡した場合は土に埋めず、生ゴミとして焼却されるようにゴミ出しをするか(必ず埋め立て処分でないことを確認すること)、火葬にしてあげましょう。
・獣医師に相談すれば、無料でツボカビの検査をしてもらえます(詳しくは、上のWWFのURLを)。
■新着情報



47NEWS1/20感染カエルは20匹超すツボカビの感染拡大

上記の記事は著作権を放棄いたしますので、どなたでも自由に転載、改変しての掲載をしていただいてかまいません。画像も使ってください。
プリントアウトして配る、ご自身のサイトへ直接URLをつなぐこともOKです。とにかく、この病気を食い止めるために力を合わせましょう。

両棲類飼育者が覚えるべきツボカビ問題の諸々(最終更新日時 2007/03/26/22:44)
                                   幻想熱帯雨林さんより転載(最新記事はコチラ)

始めに
ツボカビに関する諸情報
消毒薬、殺菌剤の種類、及びその入手方法
飼育ケース、飼育廃水の消毒方法
検疫および日常の管理方法について
ツボカビかなと思ったら
フィールドワークに於ける注意事項(ツボカビ関連)

始めに

 当ページは、両棲類飼育者が覚えるべき、ツボカビ問題の諸々の事柄をまとめた頁です。ツボカビ問題に対して、一般飼育者がどのように向き合えば良いのか、みたいな頁であり、ツボカビの治療をしようという頁ではありません。ツボカビの治療には専門の知識と、適した設備を要するものであり、個人にできることはでありません。生兵法は怪我の元ですから、そうではないかという疑いがある場合、必ず獣医師に相談してください。

 この頁の目的は、ツボカビが日本に侵入したことを受けて、いかに自分の飼育環境に持ち込まないか、という自衛の為の知識を分かり易く説明することです。また、万が一、自分の飼育環境にツボカビが入ってしまったりしたとき、気付くのが遅れて野外に出てしまうことを防ぐために、両棲類飼育者が今後(ツボカビがいるいないは関係なく)、日常的にどのような管理を行えば良いか、また、ひょっとしてツボカビではないか、と思った時にどう対応すれば良いのか、ということをまとめています(現時点では、まとめようとしています、が正しいけれど)。

 現在制作中であり、情報を随時募集しております。
 ツボカビの詳細については、リンク集にある麻布大、或いはWWFのサイトを参照ください。

 当ページ(http://sublunary.sakura.ne.jp/other/tubokabi/tubokabi.htm)は、パブリックドメインとして公開しています。
 当ページとは、フォルダ、http://sublunary.sakura.ne.jp/other/tubokabi/にあるものを意味し、閲覧者は営利非営利問わず、これらを自由に利用することができます。出典などを示す必要もありません
 極端な話、自分のWebサイトや、本などにそのまま転載するなど利用することも、印刷したものを販売することも自由です。そのまま利用することも、改変することも出来ます。筆者に許可を求める必要はありません(パブリックドメインとして公開した時点で、この頁の文章は公(パブリック)のものであり、権利者は筆者ではないので、許可を求められても、筆者が出すとか出せるとかそういうものではないので)。

 ただ、現時点では当ページは未完成であるものの、速報性を重視し公開していることを鑑み、完成するまでの間は、できれば転載する場合は最新のものを転載し続けるようにして頂きたく思います(特に致命的な誤謬が認められた場合の対策として)。

 但し、文章内部に他のインターネットサイト、及び書籍からの引用がある場合には注意が必要です(引用部にはその旨表記します)。引用部分の一部のみを取り出して利用することはできません(引用に当たらないからです)。ですが、当ページは著作権に基づき正当な引用を行っているものであり、文章全体を纏めてコピー(引用)することは著作権上問題は生じませんので、たとえ引用部分があっても、それも含めて、記事をそのまま全文転載することはできます。正当な引用な含む正当な記事を、正当なライセンスのもとで転載しているに過ぎないからです。(此処は著作権について考える頁ではないので、詳しくは割愛します)。

 当頁に誤謬及び誤植、誤字などを見付けた場合は、ご連絡下さい。
 当ページは最終更新日時(〜)が後であるものほど最新とし、その情報の正確性は後者ほど高くなるものと思われます。

ツボカビに関する諸情報
人間には罹患しません


 まず、ツボカビによる感染症は人間には起こりません。衰弱している人、老齢の人、幼児や新生児であっても、全く影響のないものです。

 症例が報告されているのは、両棲類(カエル、イモリやサンショウウオなどの有尾類)と、一部の淡水エビのみです。

 哺乳類(犬、猫)、爬虫類、鳥類、植物、魚類には感染しません。

必読リンク集


麻布大学
 http://www.azabu-u.ac.jp/wnew/detail07/070111.html
  ツボカビ症に関する解説書 (PDF 81KB)
  ツボカビに関するQ&A (PDF 26KB)

WWF
 http://www.wwf.or.jp/activity/wildlife/biodiv/alien/chyt2007/index.htm
 ツボカビに関するQ&A

環境省
 http://www.env.go.jp/nature/info/tsubokabi.html




どうすれば?


 導入から60日以上たち、他の個体との水による接触がない個体である場合、緊急の心配はありません。

 取り敢えず、今まで通り飼育を続けてください。但し、健康に問題があるように見られるものに関しては、獣医師に相談が必要になります。

 また、健康に見える個体であっても、導入から60日以上が経過した個体を飼育しているのみという場合であっても、今後は、飼育に使った水を捨てる場合は殺菌を行ってから廃水をすること、飼育容器は殺菌するべきです(註)。

 (註釈: アフリカツメガエルなど、確認されている種類数は数える程であるようですが、罹患しても発病しないで、保菌者になっているカエルが存在する為です。ベルツノガエルなど、一般によく飼育されている殆どの種類は、罹患すればほぼ確実に発病しますので、60日間以上飼育していれば緊急の心配がない、というのはそういうことだと思われます。少々マイナーなカエルを飼育されているマニアの方は、留意しておくべきかと思われます)

 殺菌の方法、薬剤についてはこちら

 健康の心配があるカエルの相談は下記へ

ツボカビとは


 ツボカビとは、ツボカビ門に属する菌界の分類群であり、その特徴として鞭毛を持つ遊走細胞を形成することが挙げられ、有機物表面に付着する種群では、遊走細胞(遊走子)を放出する際に丸い蓋が開くように見えるものがあり、その様が壺のようであるので、この名がつけられたとされます。

 このツボカビが起こす感染症が、ツボカビ症と呼称されているもので、公式に報告されたのは1998年とごく最近になっています。ただし、その後の調査で1938年のアフリカツメガエルの標本から検出されたものが調べられた中で最も古いことから、もっと以前から世界中に蔓延し始めていたのではないかと言われています。この種類が元々のキャリアであったという推察は、アフリカツメガエルの自然下のとある個体群から検出されていることと、アフリカツメガエルは女性の妊娠診断に用いる目的で当時世界各国に輸出されており、時期と、複数の地域に輸出されたものを洗い出すなどの結果得られたもののようです。

 オーストラリアで90年代に爆発的に広まり、オーストラリア固有の両棲類に壊滅的な打撃を与え、幾つかの種の絶滅の要因になったとも言われています(無論、環境破壊などの影響もあるので、一概には語れません)。その後、中南米などで発見され、此処でも深刻な被害を与えており、2005年にはタイでも発生したとされます。

 原因はツボカビ門に属するBatrachochytrium dendrobatidisという真菌の一種で、土壌や淡水中に棲息し、有機物の分解菌或いは腐植菌として、キチンセルロースケラチンなどの分解されづらい物質を利用しています。両棲類の皮膚には生きた細胞の状態で存在するため、ツボカビの遊走子が100以上付着することで罹患し、発症します。

 その致死率は非常に高く、種類によっては90%以上が死滅します。但し、一部のアフリカツメガエルやウシガエルなどでは症状が出ないまま経過し保菌者になることがあります。そして、一度入ったツボカビ症は、ウシガエルのような発症しないカエルにより広範囲に感染が広がり、多大な被害を及ぼしたと言われています(日本のウシガエルからは、以前の調査ではツボカビは検出されませんでした)。

 感染しているかの判断にはPCR検査が有効で、種類により症状がまちまちであることもあり、外見から判断することはできません。治療方法もありますが、一般療法で対処できるものではなく、むしろ感染を広げてしまう危険性が高い為、必ず、かつ早急に専門知識を有する獣医師に相談してください。

 オーストラリアでは靴やタイヤに付着した泥から感染が広がったケースが指摘され、窓口における検疫だけでなく、国民ひとりひとりの検疫意識の高さが問われる面が強いと言えるでしょう。例えば、旅行先が汚染地域であった場合、靴をビニール袋などに入れて持ち帰れば、それだけでツボカビを持ち帰ってしまう危険性があるからです。そうした靴などは、洗浄と洗浄廃水の消毒、靴自体の薬剤消毒が望ましいでしょう(フィールドに於ける諸注意を参照)


感染経路


 ツボカビは、水を感染経路としています。感染したカエルの表皮にとりついたツボカビが増殖し、遊走子を放出すると、これが水の中を泳いで他のカエルに付着することで感染が拡大していきます。この為、空気感染することはありません。水の管理を徹底することで、感染の予防はもとより、感染拡大を防ぐことができます。検疫については後述します。

 但し、各種消毒剤を使ったとしても、ツボカビの感染症を治療することはできません治療する方法はあります。ですが、治療には必ず獣医師の判断を仰ぐ必要があります。
 また、個人でツボカビかどうかを診断することは不可能です。決して素人考えで判断したりせず、不安を覚える場合には獣医師に相談の上、PCR検査の申し込みをすると良いでしょう(PCR検査は、その検査はもとより、その相談や申し込み手続などは無料です。各獣医師の方々はボランティアですので、失礼なきよう、留意ください)。
 各種の除菌剤、殺菌剤を用いた飼育廃水、飼育ケースの除菌は、日本の生態系を守る為に、万が一に備えて、カエル飼育者すべてが遵守すべき事柄ですが、ツボカビの治療・検疫とはまったく別の事柄ですので、混同しないようにしなくてはいけません。

感染しているかどうか調べるには?


 PCR検査というものがあり、一般飼育者は無料で検査を受けることができます。
 国立環境研究所が検査を行いますが、検査の申請は一般からは行えず、必ず獣医師を通して行う必要があります。綿棒などでカエルの表面を軽く擦り、それを検査するというもので、個体を持ち運ぶ必要はありません(不安にかられても、個体をいきなり持ち込むような真似はせず、かならず予めメール、ないし電話で各獣医師にご相談ください。メールアドレスが公開されている場合、メールで問い合わることが推奨されています)。
 2007/01現在、検査体制を整えている最中であり、今月末から来月頭から本格的に検査体制が整うと言われています。

 現時点では、カエルの検疫、調子の悪い個体は他の個体と一緒にしない、取り扱い時は、一つのケースを触ったら滅菌してから他のケースに触る、できることならばケース毎に使い捨てビニール手袋を用いる、ケースの中にあった皿などのマテリアルは薬剤で消毒し、土や植物などは密封して焼却廃棄すること、飼育廃水は次亜塩素酸ナトリウムで消毒する、などの飼育者ひとりひとりができる対策をひとつひとつ、とっていくことが大切だと思われます。(当ページでも纏めて行く予定です)


相談窓口


 現時点(2007/01)で感染しているかどうかの検査(遺伝子解析による検査。PCR検査といいます)は無料となっています。

 すなわち、各先生方はボランティアとして窓口になってくださるのであり、先生方の本業に差し障りのないようにすることを留意してください。連絡をとる前に、当ページで基本事項を確認することをお薦めします。
 メール窓口がある場合は、まずは、メールにてご連絡下さい(公式に、そのようなお願いが出ております)。
 (引用、http://www.wwf.or.jp/activity/wildlife/biodiv/alien/chyt2007/q-a20070113.htm#q7 及び、インターネット検索エンジンGoogle)

 事業者情報なので個人情報保護には抵触しない内容ですが、扱いには留意してください。


■都道府県、五十音順

■愛知


よしむら動物病院 吉村友秀先生(愛知県)
 木曜日定休
 0586-62-8021
 メールの問い合わせは→mail@yoshimura-ac.com
 9:00-13:00
 16:00-19:00(日曜祝日除く)


天白動物病院 太田昭彦先生(愛知県)
 052-801-4311
 9:00-11:30
 17:00-19:30(土曜日を除く)
 日曜休診

■大阪

アスクジャパン 浅木裕志先生(大阪府)
 詳細不明

中津動物病院 中津賞先生(大阪府)
 nakatsu@xa2.so-net.ne.jp
 072-232-6472
 9:00-13:00
 17:00-20:00
 土・日・祝日の午後休診

■沖縄

那覇獣医科病院 高良淳司先生(沖縄県)
 メールの問い合わせは→save.frogs@gmail.com
 098-857-1008
 9:00-12:30
 14:00-19:00(祝日日曜は17:00まで)
 診療時間終了の30分前には受付終了。

ながみねどうぶつクリニック(Google検索) 長嶺隆先生 、天野洋祐先生 (沖縄県)
 098-979-0001
 9:00-12:00
 15:00-19:00 

■岡山

ナカムラペットクリニック 中村金一先生(岡山県)
 086-271-1170
 9:00-12:00
 16:00-19:00
 日曜日、祝日休診

■神奈川


すずき動物病院 鈴木哲也先生(横浜市)
  hakusuki@yokohama.email.ne.jp
  045-593-2333
  9:00-13:00
  16:00-19:00
  日曜日祭日、9:00-12:00


石田動物病院 石田浩三先生(川崎市)
 (連絡先が画像データであった為、配慮して画像を用意しました。メールアドレスはあるのですが、医療に関する問い合わせはうけつけてない、とあるので、電話するしかないと思われます)
 火曜日休診
 9:00-12:00
 16:00-17:00

ももの木ペットクリニック 林律子先生(神奈川県)
 momonokipc@vet.ne.jp (件名に、「ホームページからの問い合わせ」とするべきでしょう。リンク先にあります)
 042-732-1862
 木曜日定休
 9:00-12:00
 16:00-19:00(日曜日を除く)

むく動物病院 田中儀範先生(神奈川県・鎌倉)
 0467-47-1604
 9:00〜12:00
 16:00〜19:00
 日曜・祝日休診

■東京

いのかしら公園動物病院 石橋徹先生(東京都)
  火曜日定休
  0422-48-1722
  平日9:30〜12:00
     15:00〜19:00
  日曜・祝祭日 10:00〜12:00 15:00〜18:00

田園調布動物病院 田向健一先生(東京都)
 tamukai@vet.ne.jp
 木曜日定休
 03-5483-7676
 9:00〜13:00 16:00〜20:00

レプタイルクリニック 小家山仁先生(東京都)
 03-5684-9221
 水曜日定休
 平日 10:00-12:00
     16:00-20:00
 土曜日 16:00−20:00
 日曜、祝日 10:00-12:30 13:30-17:00

中野バードクリニック 中野祐美子先生(東京都)
 03-5364-2550
火曜日・水曜日定休
 15:00-21:00


みわエキゾチック動物病院 三輪恭嗣先生(東京都)
 03-6421-3722(完全予約制とのこと)
 (火曜日、金曜日、土曜日)
 9:00-12:00
 16:00-19:00
 (日曜・祝日)
 9:00-12:00
 14:00-17:00

野村動物病院 野村道之先生(東京都)
 0424-60-7667
 9:00-12:00
 16:00-19:00(日曜・祝日休診)

■埼玉

おぬま動物病院 小野貞治先生(埼玉県)
(連絡先が画像データであった為、配慮して画像を用意しました)
 註:副院長の小野貞治氏に取り次いで貰うのが良いかと思われます。詳しくはリンク先を参照下さい。
  メール相談フォームがありますが、この件に関して此処から問い合わせて良いかは不明です
 平日 6:00-11:45
     16:00-19:45
 祝日・日曜 9:00-11:45

オリバー動物病院 西尾里志先生(埼玉県)
 048-987-5585

■千葉

いちかわ動物病院 笛木敬祐先生(千葉県)
 04-7344-124
 9:00-12:00
 16:00-19:00
 水曜日・日曜日休診

■栃木

アンドレ動物病院 戸崎和成先生(栃木県)
 火曜日定休
 028-649-7799
 9:00-13:00
 16:00-19:00 (祝祭日除く)

山下獣医科 山下正弘先生(岐阜県)
 058-392-1622
 他詳細は不明です。

クウ動物病院 田中治先生(大阪市) 
 06-6912-9870
 10:00-12:30
 17:00-20:00(土日除く)

ナカムラペットクリニック 中村金一先生(岡山県)
 086-271-1170
 他詳細不明

■北海道
あかしや動物病院 大橋英二先生(北海道)
 0155-21-5116
 (他、詳細不明です。メールアドレスはないようです)

■新潟

新発田シートン動物病院 齋藤昌博先生(新潟県)
 0254-23-7171
 (他、詳細不明です。メールアドレスはないようです)

■福岡

アミノ動物病院/福岡県野生動物保護センター 網野志明先生(福岡県)
 0949-25-8118
 (他、詳細不明です。メールアドレスはないようです)

池田動物診療所 池田繁生先生(福岡県)
 0946-21-3281
 (他、詳細不明です。メールアドレスはないようです。Google検索



消毒薬、殺菌剤の種類、及びその入手方法

 飼育ケースや飼育廃水を殺菌するのに有効な薬剤、消毒剤の種類、入手法、希釈率などを簡単に説明する。

 薬剤以外の方法では、一番確実なのは煮沸消毒である。ただし、熱湯消毒(=熱湯を振りかけること)と、煮沸消毒は別のものであるので注意が必要になる(詳しくは熱湯消毒について参照
 熱湯は極めて限定された条件下でしか使えないため、汎用性に優れた殺菌方法は、薬剤を用いることとなる。様々なものが有効であるが、薬剤の種類、濃度により使用方法が異なるため、適切な用法、用量を守って使用することが肝要となる。

 但し、此らの殺菌剤はツボカビが万が一にでも野外に出ないようにする為のものであり、ツボカビの治療になるわけではないので、注意が必要である。ツボカビの検査には獣医師を通してPCR検査が、治療には獣医師の指導が必要不可欠である。

 薬剤の使用は、ツボカビに万が一にでも感染している個体がいる場合、それの飼育を通じて野外にツボカビが出ることのないように、また他の飼育個体に感染拡大させてしまうことのないように、両棲類飼育者すべてが今後実施していく可き事柄であり、実際にツボカビに感染しているか、否かはまた別の問題である。

 今後は、感染している個体がいないことが確認されたとしても、これらの薬剤による飼育廃水の除菌はカエル飼育者にとって遵守すべき事柄であろう。(これは何故かということも後述する)

 もしも、感染しているおそれがある個体がいるかもしれない場合は、まず、なによりも必ず獣医師に相談に相談すべきである。飼育廃水、飼育ケースの洗浄消毒手順は今後実施していくべき事柄であるが、けっしてツボカビに感染した個体が出た場合の対策では”ない”ことを、繰り返し此処に注意喚起しておく。

 また、両棲類の死体を薬剤を用いて殺菌することは出来ないので注意しなくてはならない。これは、体内にもツボカビの遊走子が入り込むからで、死体は焼却処分、或いは煮沸消毒処分としなければならない。詳しくは、両棲類の死体の殺菌を参照のこと。

 用法用量に関しては、各薬剤に貼付されている説明書を確認、遵守のこと。

 基本的に、一度に、一種類の薬剤しか使わないこと。薬剤は混ぜることで反応を起こすものがあるので、くれぐれも用法用量を遵守のうえで使用すること。

 飼育廃水の殺菌→次亜塩素酸ナトリウム水溶液(ハイター等)
 飼育ケース、器具、飼育棚などの殺菌→熱湯消毒、煮沸消毒、ビルコンS次亜塩素酸ナトリウム水溶液(ハイター等)塩化ベンザルコニウム水溶液
 メンテナンス時に触れた手の消毒殺菌→塩化ベンザルコニウム水溶液含有の消毒薬クロラミンあるいはクロルヘキシジン含有消毒薬

複合次亜塩素酸系消毒剤・ビルコンS


Virkon 写真は5kgパッケージ。最小で1kgだが、小分けにして販売しているペットショップなどがあるので、少量の場合はそういった店を用いると良い  Antec社が販売する、様々な成分を含有する消毒剤で、酸化力により優れた消毒、殺菌作用を持つとされ、適切な希釈度数で適切に用いられれば多くの細菌、ウイルス、カビ、芽胞を殺菌することができる。
 粉末状で販売され、通常、水に溶解させて使用する。溶液は薄いピンク色であり、時間経過と共に効果が薄れると同時に色も褪せて行く。使用する状況にもよるが、通常、溶解させてから三日から四日以下で使用することが望ましい。刺激性が低く、スプレーなどして使うこともできる。

 尚、室温における最高濃度は約4%である。よって、多めにいれてもこれ以上の濃度にはならない(ゆえに、貯蔵溶液を作ることはできない。1リットルの水に100gを加えても、水の底に残るだけで、溶液の濃度は約4%でしかなく、この溶液を取り出して薄めれば、無論0.4%となる。よって、たとえば10%溶液を作りだめしておき、使用時に10倍に希釈して使うようなことは、本製品においてはできない。)

 使用する濃度は1%(100倍液)である。

 1%溶液、すなわち100倍液は、1リットルの温水(ただし、40℃以上では効果が壊れるため、使用してはならない30℃程度が理想)に10gの粉末を加え、攪拌(かくはん:かきまぜること)することで得られる。
 温度が低いと溶けにくく、また硬水であるほどに溶けづらい。粉末が沈殿しておらず、完全に溶解しているかどうかを確認する。溶液がピンク色に染まったら正しく作れていると考えて良い。

Virkon 44時間ほど経過した100倍液。 色が薄くなると効果も低下する。薄くなる速度は、作った際の濃度だけでなく環境にも因る。よって、薄くなっていたら、たとえ翌日だったとしても効能は低下していると判断すべきである。  公式には120倍液が推奨されているが、これは作り置きせず、その場で使う場合である。ビルコンSは複数の成分の複雑な化学反応による酸化力が、その殺菌作用として働いているため、1%溶液を作り置きしておくと、環境にもよるが、効果が数日で2〜3割ほど減ずるため、作り置きをしておく場合、メーカーからも1%以上で作ることが推奨されている。120倍液を作ると、より早く薄くなってしまうので、作り置きのことも考えると、100倍液で作るのがもっとも実用的である。

 ただし、消毒槽や踏み込み槽など、1回に大量に必要とし、作り置きではなく1回で使い切る場合は、120倍液でも良い。

 120倍液の場合は、水1リットルに対して約8.2gのビルコンSを溶かすことで得られる。

 効果の低下は、色の褪色で判断できるが、色が残っていても7日過ぎたものは使用できないと考え、廃棄するようにする。夏場など、温度が高い条件下では、より早く効果は減ずる。理想は、3日(72時間)以内で使い切ること。色が失われてきていたら、翌日であっても効果が薄らいでいるので使用しないで廃棄し、新しく作る。

 売られているのが1kgが最小単位なのが入手にあたり最大の問題かもしれないが、小分けで販売してくれる店もあるので、そこから購入することでこの問題は解決できる。

 大量の有機物(アンモニア、具体的には糞尿など)と混ざると殺菌力が低下する。pHが傾いた環境、例えば椰子殻土から出た水のような場合も殺菌力が低下する。また性質上、飼育廃水の殺菌に用いるには向いていないので、使用しない。

 よって、飼育ケースや飼育棚への霧吹きによる塗布、器具や小型容器を漬け込むことによる殺菌に用いる。手に触れても刺激性が低い分、次亜塩素酸ナトリウム水溶液より扱い易いが、いずれにしろ水洗いは必要。

 これは本剤に限らず云えることだが、滅菌対象物を薬液に漬け込むのは一度きり、である。すなわち、消毒槽を用意し、そこに消毒するケースを沈めた場合、その薬液は汚染されたと考え、その後は使用せず廃棄する。今回の場合、複数のカエルに使ったケースを一つの消毒槽に一緒に入れるような真似はしないで、一個、あるいはケース及び皿など一緒のケースの中で使用していたワンセットのみを入れ、それらの消毒が終わったら消毒液を廃棄し、水でざっと洗って新しい消毒液を作ってから別のケースを消毒すること。
 消毒したケースを取り出した後、また別のケースをその中に入れるような真似は、消毒ではなく汚染を広げることにもなりかねないので、絶対にやってはならない。浸漬させる時間は使用濃度にもよるが、1%のもので3〜5分以上が望ましい。ただし、金属を含む場合は、10分以内に取り出して、水で洗わないと、器具が傷むことがある。

 シンクなどに塗布した場合は、一定時間経過後、洗浄する。ゴムなどの靴裏や器具を消毒するのに向いているので、靴の裏、タイヤの洗浄にも用いる。そうした場所に塗布したのち、乾燥後、白く成分が析出することがあるが、これは簡単に拭き取ることができる。

 金属との接触をさせるため、指輪やブレスレット、ピアスなどの装飾品は身に着けないで作業すること。

 Google検索:ビルコンSビルコンS+小分け


次亜塩素酸ナトリウム水溶液


 最も安価で入手し易い除菌剤である。飼育廃水を除菌するのには安価である本剤がもっとも入手しやすく向いていると思われる。

 次亜塩素酸ナトリウム(Wikipediaは不安定であるため、通常、水溶液として販売される。水溶液にも独特の刺激性の臭いがある。高温で有効成分が分解してしまうため、お湯に加えてはならない。廃水が暖かい場合、殺菌するには冷ましてから入れること。

 廃水を殺菌するのに推奨される濃度は200ppm(≒200mg/L、0.02%)である。

 原液を、廃水の量に対して必要な分量だけ加え、軽く攪拌し15分置いてから廃棄する。次亜塩素酸ナトリウムによる殺菌は、安全に用いられる濃度範囲内では、濃くしたところで反応時間の短縮は殆ど見込めない。よって、濃度を濃くすることで、置いておく時間を短縮しよう、とは考えない方が良い。

 一般には塩素系漂白剤と呼ばれるものを使用するのが良い。漂白剤なら何でも良い訳ではなく、必ず塩素系漂白剤でなくてはならないので注意。

 花王が発売している白物専用塩素系漂白剤(商品名ハイター)及び台所用洗剤(キッチンハイター)を用いる場合、この濃度にするには、

「水5Lに50ml」

 程度を目安にする。註:ハイター及びキッチンハイターでは、ボトルのサイズに関係なく、キャップは25mlになっている筈ですが、一応、キャップの容量をご確認下さい)
 100分の一入れれば良いので、2リットルならば20mlと覚えやすい。ハイター以外の製品だと濃度が異なることがあるので、濃度に注意すること。キッチンハイターとハイターは、花王のサイトを見ると、次亜塩素酸ナトリウム濃度は同じであり、キッチンハイターの方に洗浄成分として界面活性剤などが含まれている。このことから、飼育廃水を殺菌する場合は、環境への影響を配慮するとハイターの方が良いと言える。

 また、ハイターの名前を冠していても、ワイドハイターやハイドロハイター、キッチンハイター(粉末酸素系)は、塩素系漂白剤ではないので、殺菌用途には使えない

 キャップを用いるよりも、安価な計量カップを購入し、それ専用として用いる方が良いと思われる。匙の場合、一般的には大さじが15ml、小さじが5mlとなっているので量が少ない水を殺菌するには匙を用いると良い。大さじでは1.5リットル、小さじでは0.5リットルを殺菌できる。用途に応じて、もっとも自分に向いているサイズを用いると良いだろう。

 希釈後、殺菌力が失われる速度がきわめて早いので、希釈液を作り置きすることはできない。必ず、使う際に希釈し、また原液は使用保証期間以内に消費すること。光によっても分解が進むので、原液は冷暗所に保存する。

 刺激性が強いので、ゴム手袋なをどし、素手では触れないように注意する。もしも原液が皮膚についた場合は素早く水で洗い流し、眼などに入った場合は擦らずに十五分程度、流水で眼を流した上で、必ず眼科医の診断を受けること。

 また、キッチン泡ハイターなどの製品は、濃度が薄くなっているため希釈する用途には向かないが、吹き付けて使用するのには適した濃度になっている。(参考:花王公式サイト

 成分として含まれる次亜塩素酸ナトリウムは、強酸との反応で、有毒の塩素ガスを発生させる為、強酸性物質(トイレ用洗剤など)と反応させないように、取り扱いには注意が必要である。よって、未成年がやる場合には、保護者が同伴すべきである。

 また、非常に希な事例だが、セルロースに次亜塩素酸ナトリウムを染み込ませ、40-50℃の環境で乾燥させる(夏場の天日干し)と、爆発性を持つ塩素酸塩が生ずることがあるとの事なので、滅多に起こりえる事ではないが、留意のこと(具体的には、高濃度の原液を零したりしたとき、拭き取る作業をした雑巾などを、よく水洗いせずに乾かした場合におこりうる)。

 ハイターは、製品によってはその成分の中に界面活性剤や水酸化ナトリウムを含むが、これに対し、純粋な次亜塩素酸ナトリウム系殺菌消毒剤として、ピューラックスという製品がある。製品により濃度が異なるが、特に表記の無いものは6%、濃いものが10%である(ハイターは5%)。

 だが、ピューラックスとキッチンハイターの効果についてを読むかぎり、開封と共に急速に劣化する性質のあるピューラックスは、一般飼育者にとっては、使用するのに向いていないと考えられる。よって、コストパフォーマンスや入手の簡単さを見てもさほどメリットがある訳ではないので、非常に大量の水を一度に殺菌する場合を除き、ピューラックスの使用は一般飼育者には推奨されないと考えて良い。

塩化ベンザルコニウム水溶液


オスバンS 一般薬局で、簡単に手に入る  別名は逆性石鹸、陽イオン界面活性剤。殺菌剤として作用する。濃度の原液が、オスバンをはじめ幾つかのメーカーから販売されており、一般薬局などで購入することができる。

 原液は塩化ベンザルコニウム濃度10%のものが多く、その旨記述がある(オスバン10%消毒剤、ザルコニン10など)。濃度を間違えて希釈しすぎては意味がないので、含まれている塩化ベンザルコニウムの量を確認の上購入のこと。

 10%とは、10w/v%のこと。これはweight/volume%であり、これはつまり、100ml中に、何g溶け込んでいるか、を示している。10%塩化ベンザルコニウム水溶液という製品の場合、100ml中に、10gの塩化ベンザルコニウムが含まれていると考えれば良い。10%=100mg/1ml

 原液のままでは濃すぎるので、希釈して使用する。
 希釈の度合いは、塩化ベンザルコニウム0.05〜0.1%溶液になるようにして使用する。
 これは、オスバンSの場合、200倍〜100倍ということになる。

 以下は、オスバンSの数値例である。

 飼育ケースの滅菌には200倍、手指の消毒には100倍〜200倍、泥の付着するタイヤなどは100倍が推奨されている。飼育廃水の消毒には用いない。

 タンパク質を硬化させる作用があるため、器具などに粘液などが付着している場合は拭き取るか、洗った上で使用する(当然、洗浄に使った布やスポンジは焼却するか、次亜塩素酸ナトリウム水溶液につけ込んで殺菌する必要がある。ただ、カエルの飼育シーンに於いて、粘液などがついている状況は限られるが……糞なども準ずるので、汚れ全般として、留意しておくこと。)。

 逆性石鹸であるため、石鹸が残留していると、本剤の効果が発揮できなくなるので注意が必要。その性質上、飼育廃水の消毒殺菌には向かないと思われる(確認中。少なくとも推奨しているものは現時点で見つかっていない)

 希釈は、オスバンSの場合、水1リットルに対し

 5mlを加えれば200倍(0.05%溶液)
 10mlを加えれば100倍(0.1%溶液)
 20mlを加えれば50倍(0.2%溶液)

 になる (50倍にするのに、2mlと表記していました。ごめんなさい。50倍希釈の場合、入れる原液は20mlです)

 200倍の溶液に浸漬させる時間は、5分間以上が推奨されている。塗布する場合は、公式に説明はないが、1分間程度で効果の期待出来る50倍〜100倍希釈の溶液を使うのが良いかと思われる。

 環境ホルモンになるので(? ちょっと現在調査中。なんでこれ書いたんだろ?)、河川に流れ込むような使い方はしない。河川に流れ込むような下水環境の場合は、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(ハイター等)を使った方がまだ良い……のかな? 主に手指の消毒に用いると考えるのが良い。
 この様な理由から、タイヤや靴などを洗浄するのに使用できるが、使う際には留意することが求められる(安全性も考慮に入れると、ビルコンSが推奨される。)

塩化ベンザルコニウム含有エタノール消毒剤


welpas ミストポンプがついているもの。据え置きで使用でき、便利である。  塩化ベンザルコニウム水溶液に低濃度エタノールを添加することで相乗的な殺菌効果を発揮するように調整された消毒薬。
 ザルコニン製品群の中では、ザルコニンAという製品が、他にはウェルパスという製品が知られている。手や、器具の消毒には最適であり、予め希釈されているのでそのまま使用することができる。

 特にウェルパスには置いたまま上から押すことで霧状にミストされるポンプが附属しており、両手が汚染された状況でも、手首などを使って手に噴霧することができるので理想的であると思われる。どの製品を用いるにしても、握るタイプの霧吹きではなく、置いた状態で上から軽く押すだけで噴霧、或いは薬液を出す事ができるポンプボトルを用意することが望ましい。

 揮発性のエタノールを使用している為、密閉空間での使用により中毒症状を呈する場合もあるため、エタノールに対し極度に弱い体質の場合には使用を差し控え、塩化ベンザルコニウム水溶液のみを使うと良い。

 ウェルパスは塩化ベンザルコニウムを100ml中に0.2g含んでおり、これは10%の塩化ベンザルコニウム水溶液の原液を50倍に希釈したものと同等となる。随分と高濃度になっているのは、短時間で効果を発揮できるようにするためと思われる(ザルコニンAでは、100ml中に0.1g。100倍希釈したものと同等ということ。ただし、これらの製品群はともにエタノールを含んでいるので、単純な100倍液の塩化ベンザルコニウム水溶液よりも高い殺菌力を期待出来るとされる)

クロルヘキシジン含有消毒薬


 クロルヘキシジンを含有する医療用消毒薬で、通常グルコン酸塩として水溶液のかたちで販売されている。
 商品名としてはヒビテンヒビディール液などがあり、一般薬局で購入することができる。真菌に対しては塩化ベンザルコニウム水溶液よりも効果が薄いので、器具や飼育容器の消毒ではなく、あくまで手などの殺菌に用いるべきと思われる。

熱湯


 正確には薬剤ではないが、熱湯も有効である。
 ただし、飼育ケースなどに掛けるような使い方である場合、お湯を掛ける段階で空気中でかなり温度が低下し、また25℃程度しかない飼育ケースに触れた段階で温度はさらに低下する。これにより、ツボカビを確実に殺すにたる効果時間を、熱湯を振りかけることで達することは現実的にはほぼ不可能ではないかと思われる。もとの温度が極めて高い、煮沸した状態(98℃以上)であっても、使用状況が多岐に渡ることを考慮すると、効果の程はあまり期待出来るものではない。
 よって、ヤカンなどで沸騰させたお湯を振りかけて消毒を試みることは、ツボカビの殺菌を目的として行う場合、不完全なものであり、ゆえに意味はないと考えられる。

 理由を以下に述べる。
 まず、ツボカビを5分で死滅させるには浸漬させるお湯に、60℃の温度が”5分間継続して必要”であり、これ以下になると、急激に長時間を要するようになる。50℃弱では30分であり、40℃程度の場合、6-8時間にまでなってしまう。

 温度の上昇によりツボカビ及び、ツボカビの遊走子の機能が低下したり、より高い温度にさらせば、ツボカビが死ぬというのは間違いではないが、人間に安全な50や60℃のお湯では、実用上の効果は期待できないので、注意しなくてはならない。
 何故ならば、60℃のお湯の中にケースや器具を漬け込めば、お湯の温度は50℃以下まで確実に低下するため、60や70℃程度のお湯で飼育ケースや器具を殺菌することは事実上できないからである。100℃のお湯を用意すれば或いは可能性はあるかもしれないが、環境(気温)や鍋の材質(放熱性)に大きく左右され、不確定要素が多すぎるので、ここでは推奨しかねる。
 事実上、漬け込むお湯は、下で加熱し続けているものでないかぎり、有効な温度帯を維持し続けることは出来ないと考えて良いだろう。

 60-70℃帯の定温を維持することのできる設備があれば別だが、そうでない場合は、温度で消毒することは現実的ではない。

 そもそも水槽などの場合、高温すぎては、コーキング素材を痛めることも有り得る。また、極低温の陶器やガラスに熱湯を注げば、急激な膨張に耐えかねて容器が破損することもある。熱湯は、それほど汎用性に優れたものとは言い難い。 薬剤を用いずに、熱湯だけですべてを処理するのは、不可能ではないが、コスト的にも高くつき、なにより時間を要するため、一般飼育者には向かない。熱湯の危険度も考慮すると、薬剤を用いた方がずっと安全で、かつ確実であると云える。

 よって、もしも熱湯を家庭で殺菌に用いるとするならば、煮沸消毒が推奨される。鍋などに器具(ピンセットや小さなプラケースなど)を入れて煮沸するまで加熱するか、沸騰した鍋に器具を入れていくわけだが、後者はとくに危ないので注意が必要であり、正直推奨できない。

 くれぐれも、生半可な温度(70℃や80℃。沸騰し始め、お湯が沸いてくるのは、このあたりの温度である)をかけたり、その程度の温度に漬け込んだりするだけで、十分な殺菌ができると考えないこと。その程度で殺菌できたと思い込んでしまうことが最も危険であるので、注意しなくてはならない。

飼育ケース、飼育廃水の消毒方法

 飼育廃水の消毒(除菌)は、ツボカビがいるか、いないかは別にして、今後、両棲類飼育者すべてが実施していくべき事柄である。自分の飼育しているところにはいない、から、やらない、ではなく、いるか、いないかは別にして、今後つねに、そうやっていく。

 これは、法律でそう決まっているからやるわけではない。誰かがやれと言うからやる、のではない。
 両棲類を飼育するものとして、我々が飼育することで日本の両棲類を傷つける事がないようにやるのであり、そうした意識の高さが、同時に自分たちが飼育している両棲類を健康な状態で飼育することにも繋がるものです。

 さて、手の除菌は、なかなか面倒そうに思えるかもしれないですが、ディスポーザブルグローブなどを使うことで除菌の手間を省く手段があるので、それを行えば事足ります。
 そして、両棲類飼育者の場合、大多数は少数個体(少数のテラリウム、アクアリウムケージ)しか管理していないであろうことを考えると、手をケースごとに毎回消毒するという行為も、それほど非現実的ではないと言えましょう。
 というか、そもそもカエルというのは触らない生き物ではないでしょうか? 水に濡れる機会は、ケースを洗う時など、非常にシーンが限られるかと思います。ピンセットなどの洗浄は、消毒液を吹き付け、ペーパータオルで拭くだけなので、非常に簡単です(慣れていないと、ピンセットへの塗布が不十分になることがあるので、注意が必要です。出来れば漬け込んだ方が良いですが、漬け込む際には薬剤を1回ごとに交換するほうが良いでしょう(十二分に多い消毒液につけ込むならば別ですが)。
 また、多数のものを扱わねばならない飼育者は、よほどのマニアであり、検疫意識も、そのノウハウも高く、それぞれの方法論があると思われるので、此処では触れません(文章量が膨大になってしまうため。簡単に言ってしまうと、そういう多数管理する飼育者は基本的にカエルに”触らない”ので、消毒するようなシーンが少ないと思われます。筆者なんか、そうですし)

 よって、飼育廃水の消毒を含め、実行は考えるほど、苦ではないです。
 文章にするとやたら長ったらしく、「そんなのやるのか」とげんなりしてしまうかもしれませんが、実際やってみてますが、それほど大変になったという気はしません。ノウハウを身に着けていく間に自然慣れるので、誰でも、そう苦せずとも、習慣化できていくでしょう。

註釈:NHK総合テレビ「スタジオパークからこんにちは」内「暮らしの中のニュース解説(2007/1/19日13:40頃)」で、ツボカビに関する報道がなされた際、「30℃のお湯で殺菌できる」と報道されましたが、誤報です。そのような事実はありません。御注意下さい。熱湯消毒に関してはこちら


飼育廃水の除菌(次亜塩素酸ナトリウム水溶液の使用)


 飼育廃水の除菌に関しては、工夫の積み重ねと手順化(マニュアル化)が、労力を減らす最大の近道である。

 先ず、飼育廃水を貯めるものは口の広いバケツなどが望ましく、さらに、飼育部屋で用いることが多いことを考慮に入れると、蓋がついているものが最も良い。素材としては後述する理由で半透明ポリプロピレンが優れているが、フタがある製品は少ないので、これに関しては絶対ではない。また、取り落とす危険性が減ずるよう、取っ手(バケツの上をくぐるように取り付けられている、金属或いはポリプロピレン製のもの)は取り外し、バケツ自体を持って運ぶのが良い。

 飼育廃水の除菌のバケツはそれ専用とし、他には用いない。また、使用する前に、バケツの内側に、油性インクでラインを引く(これを目盛りとするため、半透明のものが良いということ。最近の製品では目盛りがもともと備わっているものもある)

 飼育シーンにおいて、一度にどれぐらいの廃水があるかにもよるが、目盛りが多すぎても混乱のもとであるので、1リットル単位が良い。また、通常人間が安全に運べる重量として、5リットル以上のものは運ばないようにする(転ぶとその洗浄に多大な労力を要する)。

 飼育廃水を其処にため、また消毒前の器具の洗浄にあたっては、その廃水をそのバケツにためていく。メンテナンス終了時、或いは5リットルの水が溜まった時点で、その廃水を殺菌するのに適した量の次亜塩素酸ナトリウム水溶液(ハイター等)を加え、フタをする。全く攪拌しないと効果が期待できないので、ガラス棒などで攪拌するが、この棒自体も汚染されるので、薬液の中に入れてしまうようにし、この棒はそれ専用とするのが良い(その目印として、赤いビニールテープなどを貼っておくと分かり易い)。

 200ppmの場合、推奨されるのは15分である。もしもバケツの外側や縁などが水で汚れてしまった場合、キッチンハイターなどの製品、或いは予め作っておいた200ppmの次亜塩素酸ナトリウム水溶液、或いは塩化ベンザルコニウム水溶液を霧吹きなどに詰めたものをその部位に吹き付ける。(臭いの観点から、塩化ベンザルコニウム水溶液塩化ベンザルコニウム水溶液含有の消毒薬が推奨される)

 こういう場合、時間の計測には砂時計や電子式のタイマーを用いる。飼育廃水を殺菌するのに使うであろう場所の目の前の壁に、予め用意しておくのが簡単である。時間がきたら、水を廃棄する。

 薬剤を多めに消費するが、飼育廃水の出る量よりも少し上の分量に適した小さじ、或いはカップを薬液を計量するものとして固定する、という手法もある。飼育廃水が、例えば4.3リットル程度でた場合、5リットル用の計量カップ(さじ)を用いて


飼育ケース、飼育棚、シンクなどの除菌


 水が零れたりした場合には、零れた場所、および周辺に消毒剤を塗布、あるいはそれを浸潤させた布巾などで拭き取り、別の清潔な布で水拭きをする。
 ビルコンSの場合は1%溶液、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の場合は200ppm、塩化ベンザルコニウム水溶液の場合は0.2%。濃度への希釈に関しては各薬剤の項目参照のこと。

 キッチン泡ハイターなどの製品は既にこの濃度になっており、泡立つために垂直壁面にも暫く塗布されるので、便利である。シンクなどは飼育廃水やケースの洗浄後はもとより、定期的に洗浄することが望ましい。
 ビルコンSや塩化ベンザルコニウム水溶液(0.2%)は刺激性が低く臭いも少ないが、10分以上の金属接触では真鍮などを浸食する為、塗布あるいは浸漬する場合、10分以内に取り出して水で洗浄する。

 消毒液の使用は、当ページで紹介されている濃度での使用は1回限りである。これは、消毒水槽に入りきる量に対して1回という意味になる。汚染されている可能性のあるプラケースがあるとして、それら複数を消毒したいならば、一つの消毒槽(それら総てが入りきるだけのサイズの衣装ケースやコンテナ)に入れ、全体が漬け込まれるだけの消毒液を入れれば、全部をまとめて消毒できると考えて良い。この中で汚染されているものがあったとしても、十分な消毒液の量と濃度、そして必要とされる時間(濃度によって違うので、各項目を参照のこと)をちゃんと守れば、殺菌できるので、汚染が広がることはない。
 ただし、その消毒液は1回で廃棄すること決して、入れてあったプラケースを取り出した後、また別の容器をそこに入れて消毒しようとしてはならない。

 ケース全体が浸漬できるだけの全部を漬け込むだけの消毒液を作るとなると、なかなかコストが高くなるだろう。よって、全体を漬け込む用途には、ハイターなどの次亜塩素酸ナトリウム水溶液が向いている。ただし、腐食性があるので、金属製品や素材によっては、塩化ベンザルコニウム水溶液を用いる。勿論、ビルコンSを用いても良い。


■巨大水槽、テラリウム、ビバリウムの消毒。

 全体をどうしても漬け込む事が出来ない大きさのものや、金属棚など、腐蝕されるおそれがある箇所にはビルコンSが向いている。 まず、室内でかならず行うこと。ビルコンS塩化ベンザルコニウム水溶液の場合、よほど密閉されていないかぎり室内でも問題ないこと、なによりも汚染されたおそれのあるものを外へ持ち出すということが問題外である。そうでなくても、大事を取って室内で行うべきだろう。
 金属棚などの場合、そもそもあまり濡れているものでもないので、全体に満遍なく薬液を塗布し、あとはそのまま放置しておけば良い。ビルコンSなどの場合、乾燥すると成分が析出するので、あとはこれを乾拭きし、水拭きし、最後に仕上げの乾拭きをする。

 問題は巨大な水槽、それもビバリウムやテラリウム用のケースで、これらを沈めきるだけの大きい水槽というのはなかなかない。特に、ビバリウムが汚染されてしまった場合は消毒が厄介だと言えよう。
 具体的な方法として筆者が考えたものにすぎないが、以下に参考例を記す。

 まず、室内でかならず行う。ビルコンS塩化ベンザルコニウム水溶液の場合、よほど密閉されていないかぎり室内でも問題ないこと、なによりも汚染されたおそれのあるケースの場合、それを外で消毒するということは問題外である。そうでなくても、大事を取って室内で行うべきだろう。ただし、アルコール分を含んでいる塩化ベンザルコニウム水溶液含有の消毒薬を使う場合は換気に留意する(とはいえ、これほど大きいものに対してそうした薬剤を使用することはコストの面からないと思われるが)。また、使用する薬液にもよるが、何を使うにしても、大事を取って必ずマスクとアイガードを着用する

 まず、工事現場などで使われる水を通さないビニールシートを敷く。一般的にはブルーの色をしているあれである。四方は、角材や雑誌などを台にして折り返し、簡易プールのような状態にして、水が周囲に散っていかないようにすること。また、ビニールシートに穴が空いていないか、予め水を入れるなどして確かめておくべきである。

 その上で、ディスポーザブルグローブを嵌める(この前から嵌めておいても良い)。また、服装は簡易とし、半袖が望ましい。服装に泥などがはねた場合、その衣服は消毒しなくてはならないので、あとで漂白剤に漬け込めるような、使い古しの服でのぞむのが良いだろう。

 中に土などが入っていて移動出来ない場合は、まずは土を移動しなくてはならない。ビバリウムの手前にビニールシートを同じように敷き、廃水用と廃棄用の二つのバケツなりコンテナを用意する。廃棄用は、最初からビニール袋でも良い。ビニール袋は二重とし、さらに一枚目と二枚目の底に、新聞紙を何重かに敷いておく。ゴミ袋のような薄手のものではなく、、熱帯魚の輸送に使われるような、厚手のしっかりとしたビニール袋を用いること。

 まず、植物や土はこぼれたりしないように取りだし、水を排水槽の上でぎゅっと絞る。絞ったら、廃棄用のビニール袋(あるいはバケツ)に貯めていく。廃水槽の水はあとでハイターで消毒することは言うまでもない。植物や土は薬剤で消毒することが出来ないので、必ず焼却処分にする。自治体が燃えるゴミでも、焼却せずに埋め立てているところは多いので、必ず確認すること。焼却に対応していない場合は、ドラム缶やオイル缶のようなものを使い、完全に焼却すること。焼却炉があるところに貸して貰うのでも良い。兎にも角にも、燃えるゴミで回収されても埋め立てられている自治体は少なくないので、必ず確認すること。

 土以外の、小石、軽石、溶岩の類は、煮沸消毒をするしかない。多孔質の物体を薬剤で消毒することに関しては、その有効性が認められるのかどうかの評価が見つからなかったので分からない。よって、ここでは水と共に鍋に入れ、沸騰してから30分以上煮沸させることを推奨する。

 中身をすべて取りだしたら、用意しておいたビニールシートの上に移動する。その上で、小さな泥など、あらかじめ、とれるだけの汚れは拭っておく(拭うのに使った布は殺菌するか、焼却処分である)。成る可く、水分は拭き取っておくと良い。これが終わったら、ディスポーザブルグローブは取り外し(汚染されてるかもしれないものを触っているので)、焼却廃棄する。

 新しい手袋をし、予め用意しておいた塗布に用いる濃度に希釈した薬液(ビルコンS塩化ベンザルコニウム水溶液)を満たしたミスター(霧吹き。出来れば蓄圧式のものが便利であろう)で、ミストではなく、シャワーぐらいの粒子の細かさで満遍なく全体に塗布する。

 汚染の疑いの高いケースの場合には、より入念にする為、垂直面などの、効果時間前に水が流れてしまうおそれのあるところには、5分間程度ミストしつづける。廃液がシートから溢れてしまいそうになったら、吸水タオルなどで定期的に吸い取ることも必要になるだろう。ビニールシートや周辺、汚れたおそれのある場所にもミストしておく。
 ケースの中、外に関わらず全体に塗布し、効果時間以上経過したら、そのまま一昼夜放置しておいても良いし、すぐに水洗いに移行しても良い。廃液は、消毒効果が期待できるだけの濃度の消毒液が混ざったものなので、そのまま廃棄するのでよい(消毒液の塗布前に、水分をなるべく拭き取っておくのはこのため)。決して、廃水に、さらに別の薬剤を加えたりしないこと。

 ケースはシートから動かした上で水洗いをするか、水を掛けて拭い、消毒を完了とする。溜まっていた廃水を捨てたら、シートには万全を期すため、もう一度消毒液を満遍なくミストしておくと良いだろう。
 衣装ケースなどに入れて漬け込む場合、折り畳まないと収まらない関係上、気泡が入り込んで消毒液と接触できない危険性は無視できない。よってその方式は推奨されない。とにもかくにも、汚染された疑いがあるものには、病的なまでの執拗さで取り組むべきである。

 なお、蓄圧式霧吹きなどに入れた消毒液は使い終わったら必ず取り出し、新しい水を入れてミスター内部の管に溜まっている薬液などは送り出し、洗浄しておくこと。ビルコンSは腐蝕効果はあまりない薬剤だが、真鍮など一部の金属の場合、長時間触れていると腐蝕してしまうので、洗浄しないと壊れるかもしれないので、注意が必要だろう。

■シンクの改造

 シンクを分岐させ、廃水消毒槽へ繋げる改造の話 (執筆予定。大夫先になるかも)


手、及び手袋の洗浄と除菌


globe ディスポーザブル・グローブ。  基本的に推奨されるのはディスポーザブル・グローブ(使い捨て手袋)の使用である。使い捨ての手袋という意味で、医師などが使用しているものをイメージすればよい。あそこまでの品質のものでなくても良く、安価なものが広く販売されているのでそれを用いれば良い。(高品質とは、高い衛生管理がされているという意味であり、穴などがあいているものは品質が高い低い以前の問題である。とはいえ、そんな製品があるかは定かではないが)

 ラテックス手袋、あるいはラテックス+グローブなどでインターネット検索すれば購入できる。また、近場では100円ショップなどでもやや割高であるが販売されている。薬局でも販売しているところが多い。ホームセンターなどでも塗装用品関連のコーナーに置いてあることもある。
 ちなみに、SMLのサイズがあることが多いようだが、だいたい、成人男性で多少余裕があるか、やや余裕があるぐらいがL、ぴったりするぐらいのサイズがMだろう。Sは購入したことがないので分からないが、手の小さい女性などはSで良いかもしれない。参考迄に。

 100枚以上入りのものが総体的には安くなる上、箱入りだと一枚一枚がティッシュペーパのように取り出せるので衛生の観点からも望ましい。この手の製品を用いる時は、取り出そうとする手が清潔であることが肝要となるので、疑わしい場合、ウェルパスなどで消毒した後、取りだし、装着すること。
 天然ゴム製品の場合、アレルギー反応が出ることがあるので、被れるなどの症状が現れた場合、使用を中止し、皮膚科医に相談の上、パウダーフリーの製品や、ニトリル製のディスポーザブル・グローブを用いると良い。

 ディスポーザブルグローブは1回使い捨て(一つのケースに使い捨て。使い捨てでない場合、後述する素手の消毒と同じような手順で消毒しなければならず、結局面倒)であり、燃えないゴミではなく、必ず燃えるゴミとして密封の上、廃棄すること。
 自治体によっては、いまだ燃えるゴミを焼却せずに埋め立てている自治体もあると聞くので、各自治体に問い合わせの上、確実に焼却するように。もしも焼却していない自治体であった場合は、新聞紙などにくるみ、缶などを利用して焼却するしかない。この際、火気と消火には十分に注意すること。できれば確実に消火できる炭壺(消し壺)かなにかを、それ専用で用いると良いだろう。

 袖口までが濡れる可能性のある大がかりなケースの洗浄などには、長袖タイプのゴム手袋を用いるようにし、使用後、手袋は次亜塩素酸ナトリウム水溶液につけ込んで殺菌する。

 手で触れてしまった場合は、塩化ベンザルコニウム水溶液含有の消毒薬で殺菌する。お湯などでは基本的に弱らせることはできても、死滅させるには数時間以上の長時間を要する為向いていない。(数分で死滅させる温度となると、人間には使用できないほど高温(80-90℃以上)になってしまう。)

welpas使用例
此の様にする場合は、押す側の手の先にある汚れが、手首に流れてこないように素早くやることが肝要である。軽く握ったほうが、水滴が落ちたりすることが少ない。
だが、できれば、汚す手は片方と決めておくのが理想的だろう
 塩化ベンザルコニウム水溶液含有の消毒薬、0.2%を用いた場合、約一分は拭き取らないことが望ましい。また、土などで汚れている場合はさらに効果が薄れるので注意が必要。(バケツなどで汚れを落とした上で手にウェルパスなどを塗布し、バケツの水を次亜塩素酸ナトリウム水溶液で消毒しなくてはならない)このようにやや面倒なので、ディスポーザブルグローブの着用がもっとも理想的である。

 消毒槽をつくり手を入れる場合、消毒槽の薬液は、一度手を入れたらそれで汚染されたものと考え、二度三度繰り返し使わない。例えば、検疫中のケースに触れる場合、一個に触り、消毒水槽に手を入れ、もう一個にさわり、薬液を交換しないまま消毒水槽に手を入れる………というのは返って汚染を広げることになりかねない。
 また、各薬剤には濃度の差はあれど1分間〜5分間の間継続して浸漬させねばならないので、実用上、あまり向いているとは言えないだろう(人間が1分間手を漬け続けるという動作はなかなか大変である)。

 ピンセットなどの場合、十分な消毒液の量と濃度があるならば、消毒槽に手を繰り返し入れるという手法も否定はされないかもしれないが、今回の場合、どれぐらいの濃度で何回までがオーケイなラインなのかのデータが揃っていないので、肯定することが難しい。
 また、各薬剤には濃度の差はあれど1分間〜5分間の間継続して浸漬させねばならないことに代わりはない。粘液などがついていると殺菌消毒の効果が落ちるため、一端クッキングペーパーで拭ってから消毒槽に沈めるのが良いだろう。このクッキングペーパーは、最終的に飼育廃水を消毒するときに中に浸した上でゴミに出すことが望ましい。そのまま焼却する場合は、かならず密封してからゴミとして出すこと。

 ディスポーザブルグローブができない、ピンセットも使えずにどうしても素手で触るしかない、というアレルギー体質などでどうしようもない場合や、飛び出た個体を捕まえるなどの緊急の場合などは、まず、腕には、指輪やブレスレット、ピアスなどの金属製はもとより、革製品などの素材を問わず、装飾品すべてを身に着けないようにすること。
 また、爪は切りそろえ、土などが入り込まないように短く切っておくことが望ましい。土が爪の間に入った場合、消毒薬などが入り込めずに効果が届かない場合があるため、消毒に先立ち、よく洗浄すること。
 具体的には、シンクにバケツを用意し、爪の間などを重点的に洗う。手の平に石鹸をつけ、泡立てた後に爪を立てて引っ掻くように指を擦り付け、爪の間に泡が入るようにし、また手の甲や指の間なども重点的に洗浄する。この際、水が飛び散らないように注意し、廃水はバケツなどに貯まるようにする。注意すべきは、石鹸が手に残留していると、逆性石鹸である塩化ベンザルコニウム水溶液効果が相殺されてしまうこと。消毒薬を塗布する、消毒液に手を浸す前に、石鹸は必ずすべて落としておく必要がある。

 手をスプレー状の消毒薬で消毒する場合、水が付いている分、消毒薬は薄くなるので、べったりと塗布した方が良い。満遍なく消毒液が塗布されたら、その状態で1分程度消毒されるのを待つ。塩化ベンザルコニウム水溶液含有の消毒薬などは、別段洗い流さなくても良いが、洗い流しても良い。

 蛇口が捻り式しかない場合、蛇口も汚染されるので、消毒薬を塗布して殺菌すること。殺菌する前に捻ってしまうと、折角洗った手がまた汚れるので意味がない。水は出しっぱなしにし、廃水を貯めるバケツをずらすことで溢れないようにしつつ使うしかなく、水が無駄に消費されることを考えるとあまり経済的とは言い難い。水がもったいないならば、ディスポーザブルグローブを買うか、蛇口の取っ手を、押すことで水が出るものに交換することだろう。
面倒くさいので、言ってはなんだが絶対に手袋買った方が手軽であると思う。


土壌、及び、飼育ケース内部の植物の除菌


 現時点では不可能であるとされている。よって、必ず密封の上、確実に焼却処分とする。
 密封して焼却ゴミとして出す場合、自治体によっては、燃えるゴミで集めていても、燃やさないで埋め立てている場合が少なくないため、各自治体に、必ず、燃えるゴミは燃やしているのかどうかを問い合わせておくこと。

両棲類の死体の殺菌


 飼っているカエルが死亡した場合の対応。
 哀しいことであるが、それはそれとして、今後、両棲類の死体はすべて焼却処分とすることが原則である。感染しているか、していないかは関係なく、必ず焼却処分にする。そうしなくては、死んだカエルのように、他のカエルが大量死することに成りかねないので、これは絶対であり、どのような理由であっても、土に埋めたり、下水(トイレなど)に流したりしてはならい。

 密封して焼却ゴミとして出すことも出来るが、自治体によっては、燃えるゴミで集めていても、燃やさないで埋め立てている場合が少なくないため、各自治体に、必ず、燃えるゴミは燃やしているのかどうかを問い合わせておくこと。このような自治体は地方であるか都市部であるかにかかわらず、少なからず存在するので、思い込まずに必ず確認すること(当方は未確認だが、首都圏であっても、焼却していないところは以外にあるとの情報がある)。埋め立てている場合、燃えるゴミに出しても全く意味がない。確認するのがイヤだという場合は、自分で焼却、沸騰してから30分以上、煮沸消毒処分すればよい。

 もしも自治体が焼却ゴミに対応していない場合は、大きめの缶と炭などを用い、骨になるまで焼却する。地中でもツボカビは生存し、土壌生物や雨などを通じて土壌汚染を広げていくことが知られているので、絶対に、地面などに埋めてはいけない

 また、マンション住まいなどで焼却することが極めて難しい場合は、専用の鍋などを用いて沸騰してから30分以上煮沸して、加熱消毒する。

 口から腸内へツボカビの遊走子が入り込むため、両棲類の死体を薬剤を用いて殺菌することは出来ないので、注意が必要である。遊走子は、腸内や口内でも生存できるので、これらに薬剤を用いても、体内の有機物や粘液が邪魔をするため、有効な殺菌は望めないからである。

 自治体がゴミを焼却していないが、加熱による殺菌が、自分では精神的な理由により、どうしても出来ない、という場合は、獣医師、或いは専門機関に相談すれば良い(PDFにそのように書かれている)。ただし、各獣医師はボランティアであるので、失礼のないよう留意すること。

 また、ツボカビか疑わしい個体を飼育したくない、という場合も、獣医師或いは関係機関に相談すれば引き取ってもらえるそうなので、絶対に野外に放逐したり、埋めたりしてはならない。移動時の注意事項もあるので、いきなり持っていくのではなく、必ず予め獣医師に相談すること。死体を検体として、獣医師に提出する場合も同様である。
 夜間で問い合わせがままならない場合は、タッパーウェアやジップロックなどの水が絶対に零れない密封容器に封入しておけばよい(ジップロックなどの場合は二重にすること)。

長時間の高温度帯曝露による殺菌の不可能性


 32℃の温度で、ツボカビに対して有効な効果が期待出来るとする文章が散見されるが、この文章は間違いであるとまでは言えないものの、全く正しい情報を伝えていないという意味で、さらに誤解を生じさせるおそれすらあるという意味で、まったく意味のない情報である。よって、参考にすべきではない。以下にその理由を述べる。

 ツボカビを32℃で殺菌する場合、必要とされる時間は96時間以上である。さらに、ほんの数度下がっただけの28℃では、活動は止まるものの、菌は死なない。その間の温度でのデータは知り得ていないが、あまり期待は出来ないと思われる(出来たとしても実用的な数字ではないのだろう)。

 つまり、32℃で殺すには、ツボカビが触れる可能性がある空間すべてが96時間以上、32℃以上でなくてはならないが、そうしたことを実現することは非常に困難である。

 例えば、水槽のヒーターを32℃に設定したり、ケースの内部の温度を32℃にしたとしても、ツボカビを殺菌することはまず殆ど期待できない。

 まず、水槽は壁面、及び底面がガラスないしはアクリルで出来ているが、これらが放熱するために外気温(空気温度)が25℃程度であれば、水槽内部のガラス壁面表層は25〜28℃以下になる(ガラスの方がより熱伝導率に優れるので温度低下し易いが、アクリルも低下することに変わりはない)。
 底面が金属ラックで、断熱材を挟み込んでいない場合はさらに下がりやすくなる。また、底に砂を敷いている場合、この砂の内部の温度は水温が32℃あっても、通常27℃程度である(水槽自体が、放熱フィンのような役割を果たすため。結局のところ、ヒーターが水を温め、さらに砂を暖める速度よりも、気化熱などによる放熱で冷やされるほうがずっ速い)。

 また、水も同様で、対流しているため、空気に触れる上面部は気化熱により温度がかなり低下する。水温計が設置された水深では32℃であっても、表層部は28度もない(無論外気温にもよるが、32℃程度に水温をしたところで効果がないという事を此処では示している)。

 よって、水槽のヒーター温度を32℃にした程度では、ツボカビを殺しきることはほぼ100%不可能である。これは、ヒーターの温度を38℃にしたところで結果は似たようなものである(実際に試してみれば分かるが、水槽内部の何処かしらが冷たいものなのだ。これを防ぐには、入れ子にして、水槽を置く部屋をサウナのように高温多湿にするしかない)

 カエル自身を見た場合も、32℃程度の外気温の場合、皮膚温度は気化熱によりずっと冷たく、粘液の中なども同様の理由で温度は低くなる(特に皮膚の分厚いカエルでは顕著だろう)。

 また、水槽ではなく、プラケースに椰子殻土や赤玉土などを敷き詰め、それを湿らせておくという一般的なケースセッティングでは、空中温度が32℃の場合、土の温度は24-25℃以下である。これは、土に含まれる水分が気化する際に土壌から熱を奪うからであり、当然、この温度ではツボカビは死なないどころか、もっとも適した温度であると言えよう。

 プレートヒーターなどで下から暖め32℃以上にするならば、土も暖かく出来るかもしれないが、気化熱を相殺して土の中まで32℃にする場合、ケース内部の気温は40度近くでなければ達成出来ない。土を数センチと分厚く敷いてあってはほぼ不可能であるし、そもそもあっという間に乾燥してしまう。乾燥させないように差し水をする場合、32℃では注ぐ間に冷めてしまうから、40℃近い熱湯を加えなくてはならない。そんな環境下ではカエルはまず死ぬものであるから、そうした環境を作る意味がない。

 高温に曝すことにより、ツボカビは活動を留めるので、たしかに一時的には症状の進行を遅らせる効果は期待出来るかもしれないが、根絶出来ない以上、むしろその感染を潜伏化させてしまう危険性が高くなる。
 こうした高温域で60日間観察したとしても、それは検疫にはならない。よって、無意味であるばかりか、害の方が大きいと言えるだろう。

 長時間の高温度帯にさらすことでツボカビを殺そうとすることは、理論上検討され、たしかにそうした手法でツボカビを治療することを試み、一定の成果を出した研究結果もオーストラリアで報告されているし、そうした論文は存在する(興味のある方はページ末の参考文献リンクからPDFファイルを参照されたし。)。
 37℃による曝露は、この論文に依拠しているものと思われる。だが、一種のカエルで検討された手法を、皮膚粘膜の分厚さや代謝が異なる他種にまでそのまま敷衍することは出来ない。
 治療法として検討されるべき余地は確かにあるが、科学的検証が為されるまでは、ただの仮説にすぎない。よって、現時点では、一般人が、いたずらにその手法で治療出来ると思うべきではない。

 手法としても、ベアタンクを温室の中に入れ、放熱が起こらないように接地面に断熱材を敷いた上で、温室内部の温度とケース自体の温度が確実に希望する温度以上になるような温度調節の仕組みがあってこそであるから、作る上で大変であるし、一般的に挑戦することには意味がないどころかデメリットしかないので、絶対に、そうした手法で治療出来ると考えたり、試みたりすべきではないし、また、ケースなどを殺菌出来ると考えたりしないこと
 こうした治療は、やる場合には正しい手法で、徹底的にやらなければ意味がない。適当な手法をとっただけで、安心してしまおうとすることが、油断を招く心の動きであるという意味で、一番危険である。
 

検疫および日常の管理方法について
検疫とは


 検疫とは、特定の国、施設、地域に入る人及び物資(動物、植物、食品、器材など)を、一定期間隔離し、伝染病の病原体などに汚染されているか否かを確認する作業のことである。植物の場合は、日本では特に防疫と呼ばれる。

 国家レベルに於ける検疫については、此処では触れない。此処で触れるのは、一つの施設である、個人の飼育部屋における検疫についてである。
 此処で重要なことは、検疫とは、確実でなくてはならない、ということ。一端飼育部屋に入れることになったならば、それは疑いがないと判断される状況であり、異常があってはならない。

 検疫の語源は、そもそも40日という意味である。すなわち何かしらの病気を持っているかどうかを、ある一定期間留め置くことで、潜伏期間がすぎ、発病するかどうかで判別する。狂犬病ワクチンが発達する前は、犬なども数ヶ月間拘留することが取り決められていた。

 ツボカビの場合、検疫に要する日数は60日とされている。そも感染しても発病しない疑いのある種類に関しては、この検疫期間中にPCR検査をすることが望ましいが、今後の国の検査体制によっては、輸入段階で検査が施されるようになるかもしれない。ただし、販売店に既にツボカビに感染した個体(発症しないキャリアーであるもの)がいた場合や、それらに汚染された器具及び水にその後、接触した危険性に関しては、店毎に異なるので一概に語る事は出来ないと云えるだろう。販売店により意識の差があることは否めないので、不安の余地ある場合、検疫期間を設けるようにすれば良い。

飼育者に於ける検疫の目的(飼育部屋のクリーン化)


 実のところ、多数の個体を飼育している一部の熟練者と呼ばれる区分の飼育者は、自主的に、自然発生的に検疫室を作り、検疫を行って、飼育部屋のクリーン化を図っていることが多い。何故ならば、ツボカビではないにしても、免疫の発達が他に比べて進んでいないと言われる両棲類にあっては、そもWC(野生採集個体)からの何らかの細菌感染や、普通に存在するミズカビすら懸案の対象であることを経験的に知っているからである。ある種に於いて問題ない類の細菌でも、他種にとってはそうではない、ということはよく起こりえるであろうという推察も立つ(実例としても、珍しいが、ないわけではない)。WCともなれば、同じ種類でも入荷した年が違えば、お互いに長期飼育していて問題がないように見えても、一緒にすると問題が起こることがある、ということ経験的に知っている。

 先駆者の忠告も含めた、そうした経験的知見から、複数の種類の飼育及び繁殖、或いは一つの種類であってもWCから毎年繁殖を成功させるような飼育技術を己のものとして身に着ける中で、自然、検疫意識が芽生え、その手法を会得していくことが多い。多いというか、むしろ、単純な話として、検疫をしないで飼育していれば、何処かしらで飼育個体が死亡する事例に必ずと言って良いほどぶつかるものである。運良く何回か繁殖に成功しても、長期飼育が出来たとしても、遅かれ早かれ必ず何処かでつまずく。CB(飼育下繁殖個体)のみを飼育している場合は、また別であるが(こうした飼育者がWCに手を出すと、手痛い失敗を喰らうことがある。そうした事例から、また学ぶのであるが)。

 これは両棲類のみならず、爬虫類であっても同じで、ブリーダーと呼ばれるような飼育繁殖愛好家は、基本的には余程の理由がない限り、CBを、WCを接触させないようにするものである。また、WCの導入に際して、ゆうに一年以上の検疫期間を設けるようにしているという人も少なくない。

 免疫機構が爬虫類よりも弱く、また同種である場合は同居させることの多い両棲類に於いては、それは尚更であり、両棲類でCBにより重きが置かれるのは、そうした背景も手伝っている。

 よって、一部の飼育愛好家にとっては、検疫とは最早常識である、と言っても過言ではない。勿論、それらの事はそうそう簡単に真似出来ることでもないのは事実であるが、長く飼育している飼育者ほど、検疫により飼育部屋のクリーン化を既に図っているようである。勿論、そうでない人もいるとは思うが。

 検疫により、飼育部屋という空間は、外部から隔離された空間となる。検疫室を通すことで、検疫が完璧であるならば、飼育部屋には感染症が入り込む余地がない。そうなれば、飼育部屋内部に於いては、飼育廃水の殺菌などは、今後実施すべきであることに変わりはないが、それを履行する以上、自己責任の範疇に於いて、検疫済み個体のみを飼育している部屋に於いてのみならば、メンテナンスの方式を簡便化することは否定されないだろう。

 ただし、繰り返しになるが、そうであっても、飼育部屋から外部へ出すもの――飼育廃水、死体の処理、植物及び土の処理などに関しては、薬剤消毒もしくは焼却処分することが前提となることは言う迄もない。

対象となる感染症の性質を理解する


 どんなものを検疫するか、ということが、検疫をする基本である。闇雲に何でもかんでも怖れて閉じ込めておくのは隔離であり、検疫ではない。

 感染には、接触感染、飛沫感染、空気感染などの種類があるが、検疫対象がどのいう風に感染するかによって、検疫設備に求められる条件が変わってくる。

 後者であるほど感染力が強いわけだが、飛沫感染であっても、分かりづらい経路を辿って感染が拡大することがあり、注意が必要である。例えばSARS(重症急性呼吸器症候群)は飛沫感染であるが、SARSウイルスはプラスティック上の乾燥状態で、通常のコロナウイルスより長い、24時間生存することが可能であることから、吐瀉物を拭き取った後や、唾液の乾燥したところに気付かず触ってしまい、その手を洗わないで食事してしまった場合などに感染が成立してしまう危険性がないわけではない。
 また、ノロウイルスなどでは、排泄物や吐瀉物、特に後者に関して、清掃する際、これを薬剤により殺菌していないと、乾燥後に、空気中に吐瀉物が微粒子として舞い上がり、吸い込んでしまったとき、この中に含まれるウイルスによって感染が拡大することが知られている。

 このように、接触感染や飛沫感染しかしないものでも、空気感染に非常に似たような感染の仕方をするものもある。これらは、微粒子のサイズが大きくないと感染が成立しないので、空気感染(エアロゾル感染)とは異なるが、近い距離、或いは密閉した空間においては感染が成立するため、検疫室内で感染が広がってしまう危険性があり、検疫をすることが難しくなる。そうした感染症の場合と、接触感染や体液感染しかしないような感染症の場合では、自然、求められる検疫体制が変わってくるのは自明であろう。

 今回問題となるツボカビは、水を媒介として感染が拡大することが知られている。
 感染源である遊走子は、水道水の中でも三週間、湖水の中では七週間生存することが出来るため、極めて高い感染力を持つ。
 また、その名の通り水中を走る為、廃水パイプなどで繋がっているケースすべてを汚染する。

 このことから、感染の疑いがあるケースのエアレーションは控えるか、それなりに留意することが推奨される(排気口、通風口から飛沫が出ることのないよう、化学繊維で出来た不織布などを貼るなど)。

 検疫の期間はそれぞれの感染症が持つ潜伏期間によって決定されるが、ツボカビの場合は感染成立から40-50日以内に発症するため、60日が検疫期間として推奨されている。もっとも、感染して数日で発症するものもいるし、このページでは繰り返されているが、ウシガエルのように感染しても無症状のまま保菌者として経過するものも希に存在する。よって、症状の知見がある種類を除けば、疑わしいものに関しては、60日の検疫だけではあぶり出せないものもいると云える。現段階で、この問題に関するアナウンスはなされていない(殆どのカエルで症状が出ると考えられていて、実際に出ないカエルの報告が非常に少ないからだろうと推察されるが、正確なところは不明である)

検疫室(或いは検疫設備)


 検疫室とは、外空間から切り離された空間設備のことである。感染症が外部に出ないようになっていれば良いわけだが、例えば空気感染するような感染症の場合は、用具、器具、廃水系はもとより、空気循環系にもフィルターなりが施され、内部の空気が外に漏れ出ないような仕組みが必要になる(入室、退室の際には消毒室を通らなくてはならない)。

 ツボカビの場合はそこまで必要はないが、検疫室としては飼育部屋とは異なる別の部屋一つをまるごとそれに使用することが最も望ましい。

 基本的に、その中で出たとしても、外部へ出なければ目的は達成されるので、あらゆる物品が検疫室の中に入ったまま出てこなければそれで良いことになる。
 とはいえ、部屋に入ったら出なくてはならないし、廃水口がそなわっていない部屋を検疫室とする場合は、水の持ち込み、持ち出しなどもしなくてはならないので、そう簡単にはいかない。
 まず、踏み込み消毒槽の代わりとしては、部屋専用の履き物を用いる。着衣も、検疫室を出た後には交換し洗濯する(実際、筆者はそうやっている。正確には、飼育部屋→検疫室、とメンテナンスをし、着替える、ということだが)。
 用具は消毒するにしても、検疫室のみで用いるべきである。竹ピンなど、植物性素材は薬剤消毒が行き届かない面があるので使用に向かない。用具、容器の消毒は、薬剤による消毒を参照のこと。

 部屋が一室しかない場合は、ガラス温室など簡易温室を使う手法も、推奨はされないが、考えられる。ただし、廊下にガラス温室を設置し、そこを簡易検疫設備として用いるというのなら、まだ検疫と呼べなくはないが、飼育部屋の中にガラス温室を置いて、その中に入れておくのは(やらないよりはまだマシではあるが)、検疫と呼べないのではないかと思う。筆者としては、ツボカビだけが気になる訳ではないので、検疫と言えば、部屋を別にすることと考えている。

 検疫室の温度は、ツボカビがもっとも活動しやすいとされる、23-26℃であることが望ましい(当然、冷たいところを好む生き物の場合は、その温度で良い)。

オールイン・オールアウト


 検疫の基本にしてすべては、オール・イン・オール・アウト、である。

 すなわち、完全消毒の為された施設に検疫対象であるものを入れ、検疫期間が過ぎるまでの間は、他の個体を導入しない。そして、検疫期間を経て、すべての個体に異常がなければ、問題ないとして検疫を終了する。

 もしも一匹でも異常が見られた場合、それ以外の個体に関しては、その時点からリセットし、再び検疫を開始することになる。
 
 検疫室から飼育室へは、完全な一方通行である。飼育部屋に行くものに関しては、疑惑が寸毫も入り込む余地があってはならない。完全に疑いが晴れたときに、飼育部屋へ移動するようにする。

 検疫室が空になったら、検疫室及び器具、用具、着衣などを、完全に殺菌消毒する。ケースだけでなく、飛沫が飛んだかもしれない棚など周辺部、部屋全体を殺菌消毒することが望ましい(言う迄もないが、特に異常個体が出た後の場合は、入念にしなくてはならない)。


 オール・イン・オール・アウトが原則であるから、何かを検疫している最中に、別の何かを持ち込んだら、その時点でやり直さなければならない。  
 例えば、何かしらを検疫し始めて50日目に、何か別の個体を検疫室に導入した場合、検疫はゼロからやり直しであり、すべての個体をそこから60日観察する。

 ツボカビの場合は水による接触があり得るような状況でなければ感染がないと言われているが、そうだとしても、検疫が終わっていない個体がいるところに、新たな他の個体を検疫室に持ち込むことは推奨されない。

 何故なら、人間とは基本的に、ミスをするものだからだ。ミスをしない人間など、此の世に存在はしない。
 60日に渡る検疫期間の間に、誰であれ、どんなに注意していたとしても、何かしら1回ぐらいはミスをする。そして、注意していればいるほどに、注意していることには気がつくが、そちらに気を取られてしまい、その陰でミスをしてしまったことに気付かない、ということが起こりえる。

 何か物事を行うにあたり、マニュアルが完璧であったとしても、それを遂行するのが人間であった時点で、つまるところ完璧な履行は不可能ということになる。人が関わるところが最大の障碍である。特に、個人で、一人で全てをこなす一般飼育者に於いては、ミスをしないということは有り得ない、と考えて良い。また、マニュアルを作ったのが当人である場合、尚更ミスが生まれやすい。ミスとは思いこみによって生じるものだからである。

 例えば、ツボカビは水の接触がなければ感染が拡大しないのだから、プラケを並べておいても、手やピンセットなどを毎回消毒していれば絶対に大丈夫、と思える。
 だが、プラケースの中のカエルが大きいものだったら、夜中にプラケースの中のカエルが飛び跳ねた際に、プラケのフタを越えて、水滴を周囲に飛ばすことがあるかもしれない。これは観察していても分からないし、翌日には壁面などにはねた水滴は蒸発しているだろうから分からないだろう。

 これは非常に珍しく、なかなか起こりそうもない。が、起こらないとも言い切れなさそうである。

 此処で述べたいのは、それを想定して間に仕切を入れるなどの防ぐ手段を講じていかなくてはならない、ということではない。どんなに手段を講じても、一人では限界がある、ということである。飼育者が一人で行う以上、ミスはつきものだ。それはしょうがない。大切なのは、ミスがあった時に、それが致命的なものにならない為に―――どんなミスがあったとしても、それに気付けるだけの機会を用意しておくことである。

 その原則が、オールイン・オールアウト、ということになる。

 上記の例では、たとえそうやって水が移動したとしても、オールイン・オールアウトの原則に従ってさえいれば、致命的な問題は生じない。感染源の個体は、60日のどこかで発症するなりして気付くことが出来るだろう。その時点で、検疫をそこから再スタートしていれば、その個体から他にうつってしまっていたとしても、次ぎの60日の間で発病して見付けることが出来る。もしも、発病個体が出たが、60日見ていて他の個体は発症していないのだから、他のは大丈夫だろう………と考えてしまったら、取り返しの付かないことになるであろう事は敢えて書くまでもないだろう。

 メンテナンスに細心の注意を払うことも大切であるが、それらは極論してしまえば、瑣事であるとも言える。それらが幾ら徹底されていたとしても、オールイン・オールアウトの原則に反してしまったら、何の意味もないからだ。

 検疫には長い時間が掛かり、またその間に別の個体が欲しくなるかもしれない。そういう場合は、その時点から、検疫をやり直せば良い。けっして、少し日数は早いが、大丈夫だろうと考えてしまったりしないこと。

 検疫に際しては、オールイン・オールアウトの原則だけは、絶対に守らなくてはならない。そうでないと、検疫の意味が全くなくなってしまうので、各自留意のこと。


 最後に付け加えておくと、極めて希と想定されるが、これをしていても侵入を許す場合がある。それは、繰り返し言われている、感染しても死亡しない保菌者となるカエル(両棲類)の存在である。症状が出ることが分かっている種類だけならば、上記の手法だけで問題ないと云えるが、そうでない種類が入ってくると難しくなる。
 どんな種が症状を示し、何が示さないか。現時点ではアフリカツメガエルとウシガエルがそうだと言われているが、他に全くいないと言い切れる筈もない。今後知見を集めていく必要はある。ただ、現時点では、ほぼ殆どの種類が発症すると言われているので、余程変わったカエルでないかぎりは大丈夫だし、そうしたカエルが必ず保菌者になっている訳でもないので、危険性は非常に低く見積もられるだろう。だが、頭の片隅に入れておくべき事柄である。
 水棲種ならば感染するだとか、陸上種ならば感染しても耐える傾向があるとか、そういう指針は存在しないし、アフリカ産ならばツボカビがいる可能性が高いなどということはない。何故ないと言うのかと云えば、そうした先入観は、裏を返せば、他の産地ならば大丈夫”かもしれない”という判断力の鈍化を招くので、等しくどのようなカエルであってもその可能性を考慮するべきだからである。
 推論や推察は幾らでも出来るが、素人判断は危険なので、絶対にしないこと。例えば、他のカエルはバタバタ死んだのに、コイツだけは生きているなぁ………という場合、その種が健康に見えても、その個体が感染していないのではなく、感染しても死なない種類である場合もありうる(ただ、そうしたカエルは極めて希な存在なので、そういう種類を見付けたら、或る意味すごいことであると思われるが)。発症するかどうか分からないカエルを飼育していて、その個体自身ではなくとも他の個体を含め、何かしら異変や異常な状況を感じ取った場合は、獣医師を通して専門機関に速やかに相談するのが良いだろう。

日常の管理


 検疫後の、飼育部屋に於ける管理のこと。

(以下執筆予定)

ツボカビかなと思ったら
診断について


 不安を覚えた場合は、まずは獣医師に相談を。

 まず、ツボカビ症は、肉眼による診断は不可能である。

 最たる理由は、両棲類の種類により症状が全く異なり、単一の所見により判断することが出来ないことである。例えば、フキヤガマ属などの仲間では、死亡するまで、外見上、全くと言って良いほど変化が見られない事が知られている。これらの仲間では、アマガエルの仲間、ツノガエルの仲間で見られる行動の不活発化は顕著ではなく、四肢の腫れ(膨張)や、皮膚代謝機能の疾患により腹水がたまり腹部が異常に膨張、あるいは逆に極端な痩身(腹部の凹みや、四肢のやせ細り)も起こらない。

 このように、全く外見上は健康に見えたまま、まるで生きているかのような状態で、死亡する種類が幾つか知られており、食欲が落ちることもなく、正しく死ぬ時は突然死ぬと報告されている。欧米での飼育者の被害では、エキスパートのキーパーであっても、個体が死亡するまで感染していることに気付くことが出来ず、気付かなかったその間に飼育環境での感染が広がり、最初の感染個体の突然死に始まり、短期間で殆どすべての飼育個体が短期間で全滅したという例があることから、ことこの問題に関しては、誰であっても、喩え観察経験を豊富に持つ熟練者であっても、肉眼、或いはカエルの行動などから、判別することはできはしない、と言われている。異常が見られる個体はむしろ分かり易いのであり、さしたる症状を見せない種である場合がもっとも難しく、また問題が深刻化する危険性がある。
 実験動物として利用されているアフリカツメガエルのように、ツボカビに感染しても、症状を見せず生存し、キャリアー(保菌者)になるだけである種類が知られていることから、何が感染していて何が感染していないかは、PCR検査によってしか判別出来ないと言える。

 ただ、判別できるか外見的症状が出るか否かは別にして、殆どのカエルが、感染した場合死亡するとは言われている。また、一般的に飼育される多くの種類に於いて、既に世界各国で甚大な被害が報告されているので、それをひもとくことで、それら症状が出る種類に関しては、PCR検査をせずとも、感染しているか、感染していないかを早期に判別することが状況的に可能であると云えよう。繰り返しになるが、症状が似ている感染症もあるので、症状が同じであること、イコールツボカビとは簡単には断定できない。だが、”ツボカビではない”ということを見分けることは出来る、ということである。

 さらに、その中の幾つかの種類によっては、非常に分かり易い外見的症状が出ることから、経験論的にその仲間周辺は同じ様な症状で死亡すると考えられており(実際、幾つかの種群ではこれが有効なものもある)、それを元に診断マニュアルが作成されている。

 ただし、これらのマニュアルに見受けられる症状の中でも、腹水がたまったり、極端な散瞳が見受けられたり、不活性な状態になったり、粘液が出るようになったり、やたら脱皮したりという症状は、不衛生な環境や蒸れる環境での飼育により、ミズカビが異常繁殖している場合や、排泄物によるアンモニア中毒になった場合、大量の普通のカビ胞子に暴露された場合でも、似たような症状が種類によっては起こりえるため、本当にツボカビなのかどうか、無論、疑うべきではあるが、所見のみでは、判断することはできない。

 このように、外見的所見からだけでは、早期発見が遅れることも心配されること、また、侵入が現時点では比較的最近であると状況的に判断されてた結果、2007年1月の時点では、見極める指針として状況が重要視されており、分かり易いものとして、

「60日間の他個体との水による接触の有無」

 が挙げられている。何故、日数から判断出来るのかというと、症状が出る、出ないに関わらず、殆どの種類で、感染すれば40日〜50日以内に死亡するからである(繰り返すが、アフリカツメガエルやウシガエルのような例外もある)。

 よって、何かが死亡した場合、及び症状の知見がある種類に於いて、疑わしい事態(カエルの行動、皮膚、粘膜、呼吸数などの異常、死亡、不健康、観察した際の違和感など)が確認されたとき、

・死亡個体が、新規導入から60日以内である個体である場合
・死亡個体ではないが、60日以内に何か新しい個体(両棲類及び水棲エビのみ)を導入していた場合。
・外部からの水草や観葉植物を導入し、その植物がもともとあった環境が、両棲類を飼育していたケースであった可能性がある場合
・新規導入を行っていなくても、60日以内に何か両棲類が死亡したことがあった場合

 の、何れかを満たすような場合は、感染を疑い、獣医師に相談する。

 現段階では危険性は未知数だが、

・餌として、メダカ、アカヒレ、エビなど、外部の水がどうしてもついてくるものを与えている(アロワナの餌用であるアジアウキガエルとの接触があった危険性が低いものの無視は出来ない)

 場合は、今後リスクとして考慮する。

 ことこの問題に関して、疑わしい場合はすべて調べるべきであることは言う迄もないが、ずっと長らく飼育しており、外部との接触がない個体であれば、喩え死んだとしても、現時点(2007年現在)では、神経質になりすぎることもない。健康であるならば尚更である。
 但し、万が一を考え、今後、両棲類の死体はすべて焼却処分とすることが原則である。詳しくは、両棲類の死体の殺菌を参照のこと。


症状が知られている種類に於ける所見


□ヤドクガエル/Dendrobates sp.

 ヤドクガエルに於いては、Dendrobates tinctoriusDendrobates auratusの両種では致死率は極めて高い(事実上100%)ことが確かめられている。また、欧州などで飼育コロニーに伝染した際も、極めて短期間でコロニーが”全滅”したと聞き及んでいる(但し詳細なレポートを見た訳ではないので、生き残ったものがいた可能性は否定されない。だが、聞き及んだ限りでは、飼育部屋のすべて、或いは廃水パイプで繋がっていたケースの個体すべてが死亡したと聞いている)。
 症状は極めて短期間に進行することが多く、気付いた時には、最初の感染個体の死亡、そしてその他の同居個体が連鎖的に死亡する。ツボカビに接触した皮膚の剥落が起こる場合もあるが、総体的に損傷は見えづらいとされる(カエル自体が小さいことも一因だろう)。皮膚がやや硬質化するが色は変わらず、足が膨らむ。気付いた時には手遅れで、治療はまず間に合わないという意味で、これらの病気はヤドクガエルの仲間にとって致命的な危険性があると示唆されている。

 よって、ヤドクガエルの場合、ツボカビに感染したか否かは、「ケースの中のカエルが全滅する」という非常に分かり易い理由で判別が可能であると推察される。全滅したならば、速やかにツボカビを疑い、検査をするべきだろう。

 ただ、上記の理由により、CBであればツボカビが入り込む危険性は低い。ブリーダーにとって脅威である為、自然、高い検疫意識を持っている人の比率が高いことも理由の一つだが、なによりも、WCであっても罹患していればほぼ確実に死ぬであろうことから、基本的にヤドクガエルのみを飼育しているブリーダー、キーパー、ショップにはツボカビが入り込む余地が少ないからである(状況的に見て、ということに過ぎないが)。
 危険があるとすれば、ヤドクガエル以外のカエルを併せて飼育している場合だろう。こういう場合は、検疫を徹底することが大前提である。言う迄もなく、もっとも推奨されるのは、ヤドクガエルの仲間を飼育している飼育部屋には、他のカエルは入れないことであろう。

 フィロバテス属、小型種に於ける致死率は現在レポートを探し中(確かどちらにとっても致命的だったような記憶が……テリビリスで発症して死ぬと聞きました。追々論文探します。情報提供希望)

□アカメアマガエル


□ベルツノガエル

□ウシガエル(Rana catesbeiana

 ツボカビに感染しても、死なないことで知られている。ただし、死なないというだけで症状が皆無という訳ではなく、皮膚の異常なてかり(粘液が大量に出るなど)、縮瞳、体勢や様子に異常が生じ、また大腿部や腹部脇腹などに出血が見られるようである。また、弱れば死亡するのだろう。

 だが、ツボカビに感染した際に死なずに、移動しながらツボカビを撒くため、汚染地域を拡大させる要因になるという指摘がアメリカで為されている。よって、本種が帰化した地域では、通常よりも速く汚染地域が拡大するとされ、アメリカ大陸での拡大の最大要因であるとも言われている。

 日本では、北海道西部以南から琉球列島まで全域に帰化している。

□キンスゲクサガエル(Hyperolius puncticulatus

 Hyperolius puncticulatus 上陸直後。この数時間後に死亡している。

 金菅草蛙。西アフリカに棲息する小型のクサガエルである。ツボカビはアフリカがルーツとされているが、アフリカ大陸に棲息する蛙にツボカビ耐性があるかというとそうではなく、アフリカに棲息する多くの蛙にとって、ツボカビ感染すれば致死的であるようだ。これはその一例であると共に、ツボカビに感染した場合に、”外見から判断することが出来ない例”の一つでもある。

 このキンスゲクサガエルは国内CBであり、もともとツボカビを持っていたものではなく、オタマの時期に感染したものである。オタマの状態ではケラチンが殆どないため、すぐには死亡しないが、変態を迎えるとツボカビが全身に感染し、その後死に至る。

 キンスゲクサガエルの例では、上陸してから数時間〜数日以内に死亡する。此の例で最も特筆すべきは、外見上、皮膚などに異常が殆ど見られないという事である。他種であるような出血も顕著ではない。
 写真を見て貰えれば分かるが、「言われてみれば」、縮瞳しているような気もする、腕がちょっとむくんでいるかもしれない、と思わなくもないが、健康なキンスゲクサガエルの状態と見比べて、簡単に分かるものでもない。

 この例では、発症してから死亡までの時間が短いが、他種では必ずしも短いとは限らないかもしれない。オタマジャクシの場合、感染している状態でも変態まで死なないので、検疫は変態後から二ヶ月を目安にすること。
 また、此の例が示すことは、なによりも、「外見で判断出来ないものもいる」のだということを肝に銘じることだろう。色艶からしても殆ど感染していることが分からないという一例である。

 (写真及び情報提供に感謝します)

□ピパ・パルヴァ(Pipa parva

 Pipa parva 健康な状態の写真。のちに外部からの感染により死亡した個体である。

  完全水中生活者であるカエルとして有名なPipa属の最小種であるが、国内で感染例が出ている。症状は、急性で、発症から極めて短期間で死亡する。
 外見上、皮膚に異常などは現れず、死亡後、大腿部及び後肢先端部の指などに、多少の出血(内出血)が認められる程度である。眼球の症状(縮瞳など)は不明。

 ただし、行動に異常が現れるため、それらにより感染を疑うことが出来るとの指摘がある。
 通常、本種は水中にいるものであり、また植木鉢や土管などをいれるとその隙間に入り込んで、餌を食べるとき以外はあまり泳ぐことはない。出ていても、人の姿を見るとシェルターに戻るという行動をとることが多いという。
 だが、感染するとシェルターの中よりも外にでて、溺れてもがくような様子で、中層から表層の水中を泳いだりするという。死ぬときは表層にでて浮かんで死ぬようである。

 本種の例は、確かにその習性を熟知さえしていれば、感染時に速やかに感染を疑うことの出来る例ではある。だが、もともと隠れる習性の種類でもあるため、通常導入直後はストレスをかけないよう、あまり観察しないようにすることが多いのが事実である。
 よって、必ずしも早期発見が容易であるとは言い難い。
 また今回の例では、発症してから短期間で死亡していることから、防衛策としては検疫の徹底、水棲種であることから水草なども入れることになると思われるが、熱帯魚店などで購入した水草は、よく洗浄した上で(この廃水も消毒する)、数ヶ月別水槽で植物検疫をした上で、メイン水槽にすぐに入れるのではなく、サブ水槽で暫く様子を見てから導入するようにすることが推奨される。

 (写真及び情報提供に感謝します)


□有尾類

 情報収集中。水棲種は感染しても発症しにくい(しない?)という話を聞きましたが、論文が見つかりません………無尾類の水棲種は普通に発症してますけどもね………うーん?

(つづきは執筆準備中)

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フィールドワークに於ける注意事項(ツボカビ関連)
フィールドワークに於ける注意の重要性_


 ツボカビ発生地を訪れる旅行者(飼育者かどうかは関係がない)、特に、カエルの生息地を訪れるような旅行家、中でも特に飼育者、そして忘れられがち或いは自覚していない例が少なくないものとして研究者、自然調査員(レンジャーなど)といった立場にある人間は、自身がツボカビの媒介者になりうることを自覚し、十全な注意を払わなくてはならない。

 このことの重要性が認識されたのはオーストラリアに於ける失敗によるものである。90年代後半、オーストラリアでは新しく発見された新種のカエルが、発見された直後から数えて一年半から数年といった短い期間で絶滅した例が数例発生した。また、中米コスタリカでのオレンジヒキガエルのように、一般人の立ち入りを禁止し、環境保護にをしていたにも関わらず一年から二年で絶滅した例を含め、これらの絶滅はツボカビ症の原因となるツボカビを、人間が、それもそうした保護活動に携わる人々が媒介してしまったことが原因であると目されている。

 無論、両性爬虫類に関わらず、所謂昆虫まで含めた、飼育愛好家、動植物採集家、バードウォッチングを初めとする観察家、釣り人といった自然に触れる機会のある人々も、注意すべき事に変わりはないが、研究員や一部の飼育愛好家のように、極めて一般的でない生息地に毎年調査に行くような人が媒介となり壊滅的な被害を与えた場合、その被害は深刻かつ重大なものになるという事は、予想ではなく過去の事実として知られているところであり、故に、特に注意すべきと言えるだろう。
 無論、研究者の多くはには斯うしたことは周知のことかもしれないが、一部の飼育者には意識と知識が共に浸透しているかまでは計れないので敢えて記している。
 ただ、現在野外汚染地域というものが日本国内には確認されていない以上、最も注意すべきは、飼育繁殖に携わりつつ生息地調査も行うような水族館職員、飼育繁殖愛好家といったハイエンドにいる人々であることは論を俟たない。当時の人々には知るべくもなかったが故に、その過失を問うことは出来ないが、現在以後に於いて、喚起されている注意を払わないことは、過失では済まされない行為と云える。

 媒介となるのは濡れた手、ピンセットなどの道具はもとより、なによりも雨具や泥の付着した靴底、衣服、カメラやカメラバッグ、撮影に用いるマテリアル(シャーレなど)そして車のタイヤなどであるとされている。

 これを受けて、ツボカビ禍が発生している各国では、それぞれ独自に、生息地に持ち込む物品の消毒、洗浄、また訪れる際の注意事項を纏めている。今後、こうした土地を訪れる人々は、飼育者であるかどうかに関わらず、帰国時には靴などの消毒殺菌を励行することが推奨される。 

フィールドでの道具の殺菌_


 現場に持ち込む道具(手袋、雨具、衣服、バールといったツール、移動手段である車のタイヤなど)は、毎回、必ず滅菌することは前提条件である。
 特に飼育に用いているようなもの、飼育部屋や検疫部屋に持ち込むものは、自然下に持ち出すべきではない。どうしても代替えの利かないものに関しては、薬剤、或いは温度を用いてツボカビの滅菌処理を確実に行うこと。また、有効な消毒方法が使えない物品に関しては持ち込みを控える。これらの消毒方法については後述を参照のこと。

日本では現時点で必要性があるのかどうかは分からないが、ツボカビ禍が発生している地域は非常に多いため、海外に旅行に行く機会がある人などの参考になると考え、此処に纏める。

 フィールドに於ける道具の殺菌が必要なのは、ツボカビ汚染地域へ立ち入った人間の、靴や、自動車のタイヤなどを媒介にして汚染地域が広まる危険性が指摘されているからである。また、カエルの調査をする人間により拡大した公算が高い為、調査に用いられる道具などは1回の調査ごとに殺菌消毒し、ディスポーザブルグローブを使用する。

 こうした場合の注意は、「汚染地域から戻ってから洗浄、消毒したのでは遅い」ということだろう。ツボカビ禍が発生しているかもしれない場所に立ち入った時点で汚染されたものは、そこから出た時点で洗浄しなくては意味がない。つまり、調査地を転々とするような調査方法を採る場合は、定期的な洗浄が不可欠である。ただし、河川などでは絶対に洗わないこと。靴が汚染されていてればそれを河川に広げることになるし、逆に河川が汚染されているケースもあるからである。

 フィールドに於ける洗浄、殺菌消毒は、同時に自然下への消毒剤の流出を意味するため、用いる薬剤には注意する。基本的には消毒剤とは別に、消毒廃液を貯めるタンクを用いて持ち帰ることが推奨されるが、タイヤなどの場合は塗布しなくてはならないので限界がある。塩化ベンザルコニウム水溶液を用いる場合は、河川などに流れ込まないように注意することが喚起されている。また、車の内部も、靴で入り込む以上、泥が入り込むため、外で消毒した上で車内に入った上で、最終的にはマットなどの消毒と洗浄が要求される。

 車に立ち入る前に、靴の洗浄と消毒を行う。ガラパゴス諸島や北ハワイ諸島などに立ち入る人々がそうであるように、靴の裏などに付着した泥を歯ブラシなどを使って丁寧に落とす。硬い歯ブラシでは、泥がはねてしまうので、程良い堅さのもので根気よく落とすこと。また、座って行うことになると思われるので、座る場合はビニールシートなどを必ず敷き、このシートも後に消毒する。泥が衣服などにはねないように落とす。濡れた泥の場合は落としづらいが、消毒液に漬けた際に泥が入っていると消毒の効果が薄らぐので成る可く除去すること。
 だいたい除去したら、薄いバットなどに消毒液(ビルコンS塩化ベンザルコニウム水溶液など)を張ったものに靴裏を浸し、消毒する。表面などは目に見える泥を除去した上で、消毒液を塗布する。また、洗浄に使った歯ブラシは必ず殺菌消毒し、調査地を転々とするような場合には、使い回しはしないようにする。


 次に重要なのはタイヤである。タイヤの洗浄の基本は、発生地からそうでない場所に持ち込ませない、という事である。つまり、発生しているかもしれない場所へ行き、戻ってから洗浄するのでは、その車が通った場所に転々と泥が撒き散らされ汚染地が拡大してしまう。汚染地からあまり離れない時点でタイヤの洗浄と消毒を行うが、調査地などによっては水による洗浄が難しい。また、河川などに泥を流すことは推奨されないので、やや土壌が乾いた場所に出た時点で一端止まり、ブラシを使ってタイヤの間に入った泥の除去をした上で、はねた泥などを含む汚れ全体に満遍なく消毒液を塗布する。ビニールシートなどで消毒液が外に流出しないようにすることが望ましい。途中でタイヤを回転させる必要があるので、事故にならないように注意することも必要だ。

 フィールド下に於いても、移動時に定期的に、靴や、手、汚れる衣服(ズボンの裾)などに消毒液を塗布することは、汚染拡大の危険性を減衰させる上で有効であると考えられている。フィールドでの完全な消毒は難しいが、定期的に消毒をすることが推奨されている。ただし、消毒液の野外への流出も考慮しなくてはならないので、消毒液の選択に一考の余地があるようだ(ビルコンS塩化ベンザルコニウム水溶液が用いられる例が多いが、後者は特に貴重な水生生物がいる場所では使用に際し注意し、余剰な消毒液は拭き取って持ち帰らなくてはならない)

 汚れた箇所に対して塗布するのは、塩化ベンザルコニウム水溶液含有のエタノール消毒薬が優れている。手指にも用いることが出来るし、金属腐食性がない。ただし、一部の樹脂など素材によってはエタノールによって曇りになってしまうこともあるので留意する。ただし、エタノールを含有している消毒剤は、飛行機に持ち込めないことがあるので注意する(預け荷物でも持ち込めないし、最近は機内へも持ち込めない。手続をとれば出来なくはないが、海外では難しい)。

 ビルコンSは、現地で水に溶かせるので便利である(かさばらない)。ただし、作る際には定量でなくてはならないので、予め1リットルペットボトルや、500ccペットボトルを持っていき、また、薬包紙などでそれらに入れるグラム数(一リットルならば10g、500ccならば5g)に包み用意しておく。最近は、ペットボトルの口につけることで霧吹きになる商品があるので、そうしたものを利用すると、同時に霧吹きとなるので便利だろう。

 余談だが、笑い話ではなく、何やら粉末を持ち歩く場合は、説明しやすいように商品名、成分名(英語や化学式で書くのが良い)などが描かれた紙を貼り付けた箱、成る可くなら商品のケースを流用したものに入れておくのが良い。海外では、ちょっとした粉末でも麻薬などに間違われることが少なくないと聞くからである(預け荷物に入れておけば、問題はなかったりするが)。場所によってはシャレにならないので、留意のこと(豪州とか、南米とか、麻薬にぴりぴりしてる社会主義の国とか。特に豪州とか。誤解が解けるにしても、時間がとられて厄介です)。そういう意味では、オスバンSなどの方が扱いやすいとも思えるが、昨今は液体の持ち込みを認めない(預け荷物であっても)航空会社もあるようなので、予め調べておいた方が良いだろう。エタノールを含んでいると、パスできない事が多い(気圧が下がった際に気化して漏れることがあるため)。

道具の殺菌処理に就いて_


 遠征地からホテルなどの宿泊地に戻った時点で、道具や衣服などの消毒殺菌を行う。特に重点的に行うのはタイヤと靴、ピンセットなどの道具になる。

 基本手順はフィールドでの道具の殺菌に準ずるが、泥を丁寧に徹底的に洗い落とした上で消毒液に漬ける、或いは塗布をする。注意すべきは、石鹸で洗浄した場合は、水洗いをちゃんとしないと、塩化ベンザルコニウム水溶液と反応してしまい、殺菌能力が落ちるということだろう。そもそも水洗いをすると、その水を消毒せねばならず、これが後々問題になる。
 何故なら、遠征地、特に海外へは、持ち込める薬剤の種類、量、共に限定されるからだ。現在、飛行機への持ち込みが可能なのは、塩化ベンザルコニウム水溶液塩化ベンザルコニウム水溶液含有のエタノール消毒薬ビルコンS、ヒビテン液などであり、成分に気化性のある次亜塩素酸ナトリウム水溶液は持ち込む事は出来ない(こっそり持ち込んだりは出来ないとは思うが、危険なので絶対にやらないこと)。よって、洗浄水の消毒が難しい場合は、現地で入手して使用するのでない限りは、水で洗うことはあまり推奨されない。基本的には塩化ベンザルコニウム水溶液や、ビルコンSの洗浄能力に頼りつつ洗浄するしかないだろう。
 

 海外から戻る際は、飛行機に乗る時点で、靴を別のものに交換し、フィールドで使った靴や衣服などは ビニール袋などに入れて持ち帰る。これらは戻ったら、洗浄し(消毒すれば良いので、水やお湯を使ってタライなどで手洗いする)、消毒した上で乾燥させれば良い。色落ちしてしまう関係で次亜塩素酸ナトリウム水溶液などにつけることの出来ない衣服などは、乾燥機に入れて50℃以上の高温に30分以上曝す。
 お湯に漬け込む場合、繊維が複雑な素材などでは、よほど長く、かつ動かしつつ漬け込まないと湯が内部に浸透しないので、60℃や70℃の温度に衣服を漬け込んだだけでは効果が期待できないため、推奨されない。

 これらがどうしても出来ない素材(自然皮革など)場合は、高温低湿度の環境(38〜42℃以上)の環境にして、48時間以上を見れば良い。

 ピンセット、ケースなどの物品に関しては、上記飼育関連の当該部分を参照のこと。

参考文献及び参考WebSite

http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=7979


In vitro evaluation of chemical disinfectants and physical techniques against the amphibian chytrid, Batrachochytrium dendrobatidis
The Amphibian Chytrid Batrachochytrium dendrobatidis Occurs on Freshwater Shrimp in Rain Forest Streams in Northern Queensland, Australia
 →http://www.jcu.edu.au/school/phtm/PHTM/frogs/chart.htm

http://www.jcu.edu.au/
 HYGIENE PROTOCOL FOR HANDLING AMPHIBIANS IN FIELD STUDIES
 →http://www.jcu.edu.au/school/phtm/PHTM/frogs/field-hygiene.doc
 →http://www.jcu.edu.au/school/phtm/PHTM/frogs/chart.htm

http://www.bio.sci.toho-u.ac.jp/special/Batrachochytrium.html

http://www.cbsg.org/

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?db=PubMed
Batrachochytrium dendrobatidisで検索

Emerging disease of amphibians cured by elevated body temperature
http://www.int-res.com/abstracts/dao/v55/n1/
 上記総合リンクにもあるが、そちらは文書をスキャンしてPDF化したものなので読み辛い。スキャンされている論文は、論文のタイトルで検索を掛けると、PDF文書化されたものが見つかることが多い。

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